「そうだ、食事にしようか。このすてきな燻製ニシンはどうかな?」
チャールズ・チャップリン『ライムライト』
今回の『缶詰のある風景』は映画のワンシーンである。それも、名画といっても過言ではないチャップリンの『ライムライト』なのである。
のちにプリマドンナとなるテリーを自宅で静養させるチャップリン。彼女の絶望した人生観に対して、チャップリンはユーモアを交えた回訓を与えるのだが、その名台詞は現代でもよく引用されている。
「人生に必要なのは勇気と想像力、それといくばくかの金だ」というのも、このライムライトの中で登場するのだ。
「人生はみじめで辛い。だが素晴らしい」
これも得心のいく名台詞。ほろ苦さとユーモアのバランスが、さすが英国人だなと感心する。
しかし缶詰blogでは、名台詞よりも食べ物に反応してしまうのである。チャップリンが尻尾をつまんでぶら下げ、テリーに見せた2尾の燻製ニシンが非常に気になったのである。
そこで本日は、燻製ニシンの缶詰。
燻製されているということ、さらにオイル漬けになっていることをのぞけば、我が国のソフトタイプの身欠きニシンとそっくりである。
かくのごとし。
『ライムライト』では、肝心のニシンを食するシーンは出てこない。英国らしい食べ方というのが思いつかなかったので、ライ麦パンに乗せてみたのだ。
では、失敬して一口...。
むっ、見た目以上に美味い。燻製臭が強く、さらにニシン独特のエグさを感じさせる匂いも強いが、噛むと旨味がじっくりとにじみ出てくる。
そこはやはり、我が国の身欠きニシンと同じなのである。
ライ麦パンも味・香りが強いので、燻製ニシンに負けていない。個性の強いもの同士でマッチしたようだ。
ところで、この日。
缶詰blogはエイ出版(エイは木偏に世)さんの『月刊ライトニング』の取材を受けた。
我が家にプロのカメラマンが入り、缶詰たちはたくさんのフラッシュを浴びて嬉しそうだった。
10月号『It's a Collector's World 26人のモノとストーリーで綴る...おかしなおかしなコレクター列伝』という企画で、筆者はその番外編に登場している。現在書店で発売されているので、読者諸賢の方々は売り切れないうちにご購入されたし!
ともあれ、燻製ニシンである。
サンドイッチだけではつまらないので、かくなる上は...。
ニシンそばであります。
しかしこれは脂臭く、かなりの失敗作であった。
ニシン漬けであります。
これは会津の郷土料理で、身欠きニシンをショーユと酢の混合液に漬け込んだもの。あいだに山椒の葉っぱを入れるのが特徴なのだ。
これは美味かった。脂の乗ったニシン漬けという、一風変わった一品となった。簡単に作れ、酒の肴に最適。酸っぱいのがお好きな御仁にはオススメである。
折しも、秋。チャップリンの映画でも観ながら、また新たな缶詰を楽しもうではないかい。
内容総量:190g
内容総量:190g
原材料名:ニシン、植物油脂、塩
原産国:アイルランド(輸入販売:川口貿易)
でも、自分で博物館を作った人、
参考になったなぁ...
昔は収集家というと暗~い人というイメージがあったけど、今はヲタクとかマニアという位置付けが出来たから、地位が向上したのかも。
Noritanのところにも、立派な博物館が作れるようなものがありますなぁ。
もう少し涼しくなってからね。(笑)
くっくっく。
おっしゃる通り、今はスープを飲むと汗だくだくっす。
時間もあまりなかったのでまた後日のお楽しみ。
この本所ジョージさんの事務所が出版とか、関わっているやつ?
ライトニングは一時期、所ジョージ氏が監修に関わっていた雑誌として、確かにありました。
今回のもまったく同じ名前の雑誌だけど、出版社も同じなのかどうか不明でっす。
これはウマソーなので、私も買っちゃいました(^^)
しかし、鰊蕎麦の発想は・・・・・・凄いですね。
高速で事故を見たときに、自分の運転が慎重になる、アノ気持ちが芽生えました・・・・
近頃、私のPCからのコメントが入りにくいです。
このコメントがちゃんと入るとイイナ
おかげさまでライムライトを観てしまいました。チャップリン映画は歳をとっていくごとに、魅力が増していきますねェ。
ニシン蕎麦は、まっ、このー。食べられないことはないです。ただ脂っこくて、いやなニシン臭が蕎麦に移って、汁全体が生臭くなるだけです。
うえ
拝見しましたよ~。
全体的に香ばしくておもしろかったデス。
ああしてばかばかしいものをちゃんと愛している人を、
私はもう手放しで信用することにしています。
いっそ騙されてもいいや、と思ったりします。
またお目にかかれることを楽しみにしております。
ライトニングは、80年代初期の、ライトで明るい雰囲気を受け継いでいる雑誌とお見受けしました。けっこう好きですワタクシ。
またお姿を拝見できる日を、楽しみにしております。