読者諸賢よ!
「金華さば味噌煮」で知られる木の屋石巻水産で、新たな缶詰の開発が始まった。
それは鯨のアヒージョ缶であります。
これまで鯨缶といえば、甘辛く煮付けた大和煮がほとんどだった。しかし僕は密かに
(あの脂の乗った鯨肉でアヒージョを作ったら、ものすごくウマいだろうな・・・)
目論んでいたのだ。
その思いを昨年、同社の開発担当S氏に話すと
「やってみましょう!」
と、とりあえず試作をすることになった。
そうして出来上がった試作品がこれ。試作であることを示すため、フタには大きく“バツ”印がつけられている。
ぱかっと開缶!
フタを開いた刹那、にんにくとオリーブオイルの芳香が一気に拡がった。
モーレツに食欲をそそる匂いであります。
かくのごとし。
鯨肉の表面が白っぽくなっているのが興味深い。箸で割ると、中の身はもっと濃くで鮮やかな色合いである。
これはオリーブオイルで煮たことによるのだろうか。
こうして皿に盛りつけると、ますます匂いが発散し、もう、我慢がならぬ。
大きな切り身をひと口、ぱくり...。
むっ。これは、ウマい。
にんにく、唐辛子、オリーブオイルというアヒージョ特有の香りが口いっぱいにふくらんで、笑いながら鼻腔から抜けていく。
弾力のある肉を噛んでいると、例のワイルドな鯨の匂いが立ち昇ってくる。
しかし、大和煮よりもずっと穏やかである。
塩味がやや薄い。薄味好きの僕にはちょうどいいが、製品化するにはもう少し塩分を足した方がいいだろう。
なぜなら、加工食品というもの、薄味だと
「味が薄い。パンチがない」
という評価につながることが多いのだ。
逆に、しっかりと濃い味にすると、不評は少なくなるという。
ともあれ、これは試作段階でのレポートである。これからどんどん味がブラッシュアップされていくことであろう。
そんなことを頭の片隅で思いつつ、鯨肉を夢中で噛みしめ、飲みこむ。
突然、脳が指令を出した。
(ビールを摂取せよ!)
その指令に素直に従い、冷蔵庫から冷えすぎビールを取り出して、んぐんぐ...。ぶはーっ。
そこにまたまた鯨肉を追加投入。
まさに至福であります。
木の屋石巻水産は、大阪の辻学園 調理・製菓専門学校と、新たな鯨缶を生み出すべく共同開発を行っている。
同校生徒が試作した8品の中にも鯨アヒージョがあり、それは校内コンペで最優秀賞を受賞したのだそうな。
さもあらん。やはり、鯨肉はアヒージョと相性がいいのだ。
同社は現在、辻学園から監修を受けつつ、商品化を目指している。
そこで僕は、さらに別バージョンの試作も提案してみた。
あらかじめ鯨肉を砂糖醤油に漬けこんでから、アヒージョに仕上げるのだ。いわば和テイストのアヒージョである。
これもいずれ試作品が送られてくると思うので、またレポートしたいと思う。
乞うご期待!
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