缶詰blog

世界中の缶詰を食べまくるぞ!

『缶詰の現場から』由比缶詰所

2011-12-10 15:34:00 | 取材もの 缶詰の現場から

 年の瀬であります。
 激動の2011年も、間もなく終わってしまうのであります。
 そんな折も折、筆者は取材に出掛けていった。静岡県清水区由比にある株式会社 由比缶詰所であります。



1601
看板にも年季が入っている

 ツナ缶や桜エビの瓶詰で知られる同社の創業は昭和8年(1933年)のこと。
 日本で初めてツナ缶を商品化したSSK清水食品が昭和4年創業だから、その4年後のことだ。
 由比缶詰所も老舗企業といっていいのであります。
 現在は他社から生産を委託されているほか、自社ブランド[ホワイトシップ]でこだわりのツナ缶を製造している。
 そのツナ缶がどれくらいこだわっているかというと、

 ①「自分たちで食べたいツナ缶を作ろう」と開発
 ②製造したら最低半年間は寝かせてから出荷
 ③ビンナガ(マグロ)を使用
 ④高級綿実油&イタリア産オリーブ油を使用

 缶詰には食べ頃があって、とくにツナ缶油漬けは半年から1年過ぎてからが美味しい。
 油とマグロの身が馴染んでいくからだ。
 そのツナ缶のお味については、日をあらためてお伝えするとして...。
 今回のレポートでは、日本で唯一の虹鱒を使った缶詰の製造現場をご紹介したい。



2700
本社社屋前にて
道路を挟んで向かい側が工場だ

 先ほど委託生産のことを書いたが、この虹鱒缶も同じく柿島養鱒という企業から製造を依頼されている。
 商品名は鱒財缶(そんざいかん)。「鱒は財産」という語呂合わせだと推測するが、こういうネーミング、筆者はかなり好きであります。



4700
いざ潜入! 省スペースで効率的な作業場だ




54671
切り分けた虹鱒の身を大釜に投入
水溶性たんぱく質の除去が目的なので
60秒で引き上げられる




6467
引き上げたらすぐに冷水へ




7508
水を切ったところ。皮目が美しい
身がまだピンク色なのがお分かりだろうか




8467
その切り身を手作業で詰めていく
ちなみに使用前の缶を空缶(くうかん)と呼ぶ




9700
バジル液を注入。イタリア産オリーブ油が使われている
缶詰は工業製品というより、人の手で作られる製品だ




10700
今度はラインを流れていき...




11700
食塩水を注入
これで塩味が加わる




12700
このあと中の空気を抜きつつフタを締める
速すぎて被写体ブレしております




13467
密封された缶詰は別室(画像奥)へ向かう




15467
缶の外側を洗剤と熱湯で洗浄
よく水を切って...




16700
このあと専用のカゴに収まって加熱殺菌される




3700
このレトルト殺菌釜に缶詰がカゴごと入る
これは内部が回転する殺菌釜であります。ふふふ




14700
ずらりと並んだ空缶




17467
フタが規定通り巻締めてあるかチェック
缶詰工場はどこも職人集団が揃っている




20111210img_1139
これが完成品の鱒財缶(そんざいかん)
こうなるまで数多くの行程と人手が必要なのだ




18467
敷地内にある直売所
取材中も地元の人が大勢買いに来ていた




19469
おまけ画像。昔は敷地内に浴場があった
かつて期間工がいた頃の名残りであります




 今回の取材でとくに印象に残ったのは、工場で働くスタッフがみな若かったこと。
 全員が日本人で、黙々とプロらしく仕事をこなしていたのだった。
 地域の雇用を創出し、地元パワーで良質のものづくりを継続していく。まさに製造業の魅力を発揮しているのが由比缶詰所だったのであります。


 ※この記事は『缶詰まにあくす』“鱒財缶 バジル”にトラックバック!


 
 


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
すごい! (albbro4)
2011-12-11 09:35:29
こんな風にして作られているのね、そして老舗だったのね。
イタリアへのお土産にしたら美味しいって大評判だったのですよ!!
次回のお土産も決定!
返信する
albero4どの (はやと)
2011-12-11 11:28:36
そうそう、地元の人は、贈答用にまとめ買いするのが普通だそうです。
フィレンツェで買ったツナ缶も美味かったけど。
返信する

コメントを投稿