先だって「落丁」だから返品する、という連絡があり、とにかくお受けしたわけだが、その品はある大手出版社の文学全集の1巻である。 受け取ってみて「これは手ごわい」と思ったのが全部で1000頁もある後ろのほう十数ページが欠丁なのだ。天金の立派な造本、書き込み・印など無しなどはありなしを一応パラパラと捲っては見るけれども 返品者も「綺麗な本で残念」とあり、このきっちりとした造本に欠丁ありとは考えつかなかった。代金は当然お返しして、その返品が大変厳重なもので、着払いの金額は本の代金をはるかに超えていた。 新刊を買った時点で気が付いていれば出版社に交換を要求できるけれども三十数年も経てしかも「古本」ではとても交換は無理。この品は転売できるものでなし 捨てるほかはなく、結局まる「損」! 買い入れの時の点検は大事であることは言うまでもないことだけれど、なかなか徹底できない。数日前も、店への持ち込みで 大方は断ったのだが数冊「ビニール袋」に入れたムックがあって、タイトルはいいので買いあげたけれど、袋から出してびっくり!傷だらけ(種類は色々ですが) ちゃんと袋から出して確認しなかった小生の手落ちです。予期したように綺麗ならばという価格には遠く及ばず・これも損!・・。
話変わって、(閑話休題というのかな?)百均本のお客のこと。
数人の常連というべき人があるけれど、彼らはスーパーマーケットで時間が来ると割引するのを待ち構えている人たちと全く同じに見えます。昨日まで特価で2・300円で出していたものを我慢できず100円均一に入れると実に良く、しかも即刻!売れる。全く良く見ているのだと感心する。また少し前のブームの頃の地方史の半端品、〇●編の中巻とか、3冊揃の一冊とか、ただし厚さは一人前に3~6cmはある函入りの本、このところ在庫整理のためにあきらめて100均に出したら次々と売れる!うれる!
これ一体何であろうか? 買われていく本の表題を見ると実に支離滅裂。本来は500円700円でもよいはずだが少し小さかったり薄いという100円の本には目もくれない。 要するに「厚くて・安い」が彼らの基準であり、「大きな獲物であればよい」ことがわかる、買ってくださるのに文句は言えないが「実に情けない」 彼らにとって「書物」とは何なのでしょうね。 美術全集類の端本を買っていた人たちもこちらの手持ちがなくなって安売りの特価に出ないと知るやバッタリと来なくなった。 もとよりこのところは100均・2・300円なら売れるだろうという程度のものは仕入れそのものをなくしている。
百均・特価台に向かって下を向いてみる人は「本」を見る人ではない。
我が家を100円均一の古本店と思っている人が少なからずこの大牟田に存在していることが分かって、いろいろ考えているところです。