2019.12.29(日)曇り
逃走初日12月11日(水)
8:30頃 おとうと上林川ロングコース約2Kmの散歩に出る。霧が濃く、寒い。
こんな感じの霧の深い朝
帰宅後、のびが何かに驚いた際にリードのカラビナをぽとりと落とす。寒さで手がかじかんでいたこともあるが、最近物をよく落とすようになったこともある。すぐに拾おうとしたとき、その行為に驚いたかすっと逃げる。するとカラビナが砂利に当たってカラカラと音がする。その音が追いかけてくるもんだからどんどん逃げる。それでも落ち着いてリードをつかもうとするがどんどん逃げて「おうち入り、ごはんやで」というのも無視して散歩から帰ってきたコースへすたすたと戻る。通勤時間帯なので府道は車が多く、しかも霧が深いので車道に飛び出すと大変危険だ。府道に出るともう姿は見えず、とんでもないことになったという恐怖に襲われる。のびの行動範囲は上林川沿いの堤防と府道沿いの河牟奈備神社往復コースのみである。先ほど散歩した上林川沿いのコースを折り返した地点まで走って探す。どこにも姿が見えず、戻ってきたときに異変を感じたかみさんに会い、もう一度川沿いを見るように言って府道を小浜方面に探しに行く。
すると上林川に向かう三叉路にのびがいるではないか。じょんのびから50m程度のところである。軽トラのおじさんが捕まえようとしている。そして軽ワゴンのおじさんも車を停めて加勢してくれて三人で捕獲することになった。ところがのびは犬が変わったようにすばしこく、簡単に包囲網を突破してしまった。
そして歩道を綾部方面に疾走し始めた。そこはじょんのびの下の道となる。「のび、おうちに帰り」と叫ぶが聞く耳持たずにまっしぐらに通り抜ける。
右手にはじょんのびに帰る道があるのだが、、
軽トラのおじさんとワゴン車に乗せてもらったわたしとで猛スピードで追いかけ、村田の農作業道入り口に追い詰める。のびの目の前まで近づいて、すんでの所でまたしても逃してしまう。その様相は我が家にいたのびではなくて、まさに野犬の様相で行動も信じられないぐらい素早かった。車二台が追いかけて、わたしは走って追いかける。車が追いついたと思ったら、河牟奈備神社の駐車広場のあたりに逃げ込み、車は立ち去ってしまった。河牟奈備神社の境内を探し回るが見当たらない。
のびの見ている方向が姿をくらました河牟奈備神社駐車場
一旦家に帰り、車で府道1号~広域農道~R27~山家~府道1号~達田三町~自宅を回る。何の手がかりもない。かみさんは知り合いに連絡を取り情報を得られるよう手配していた。またSNSで情報収集をはじめたのもこの日からだと思う。軽く食事をとり、山に入る用意をしてバイクで出かける。河牟奈備神社の裏手の山を尾根まで上り、東に進むと200mぐらいで古い峠に出会う。この尾根はどんどん上っていくのでここで折り返す。佐々木さんの情報だっただろうか、犬は水のある方、つまり谷に向かって逃げるというのが気になったからだ。反対に尾根を下っていったら、歩きやすい尾根道が続く。そしてその尾根の末端は見覚えのある古気良谷のお墓のところとなる。ここで折り返し河牟奈備神社に戻り、周囲の藪を探す。どこにも姿は見えず、バイクで古気良谷に入る。もし神社裏山を登っていれば、先ほどの尾根を下りこの谷に来ていると予想したからだ。林道がずいぶん奥まで入っており、ぬかるみと草でバイクでも通行困難な感じだ。最奥は二股になっており、おおきなぬかるみとなっている。聞き耳を立てるが何の反応もない。明日はこの谷を探してみようと元来た道を下る。そこで奇跡が起こった。さきほどのお墓の下の草むらにのびがいるではないか。
奇跡的にのびを見つけた地点、河牟奈備神社は右手の尾根の向こう。
最初は幻でも見たかと思ったが、本物だった。ところがこちらの姿を見たとたん、慌てて逃げ出した。無理もない、こちらはフルフェースのヘルメットで完全装備をしている姿だ。フルスピードで転びそうになりながらも、最奥の家の石垣のコーナーに追い詰める。もう逃げられないぞ、リードに手を伸ばした瞬間、のびの姿が消えた。あっという間に石垣をよじ登り、斜面から竹林の中に飛び込み、谷奥の方向に疾走している。倒れた竹に当たるカラビナの音がカンカンカンと響くだけで、姿はすぐに見えなくなった。嘘だろう、神が与えてくれた最後のチャンスを見事に見逃してしまったのだ。
すぐに後を追うが斜面は急で、倒木の林はチョイと進めるものではなかった。這々の体で進むと、尾根に突き当たる、その尾根を上ったのか下ったのかわからない。まず上ってみる、どこかに引っかかってくれと祈るのだがそれらしき物は見当たらず、稜線近くまで来る。そこには名畑町の共同のテレビアンテナが壊れて残っていた。ここで折り返し尾根を下る。下りきったところは猛烈な藪で滑って転んで、とんだ藪漕ぎになる。
帰り際に再度河牟奈備神社により、お参りする。これほど真剣に神頼みしたことは初めてだ。
家に帰るとすぐにチラシの制作に取りかかる。山は自分で探すとして、人里に降りていたら、人の情報に頼るしかない。つらい夜が始まる、悔恨の念と見つかるかという不安、そしてのびがどう過ごしているかという心配で、眠れない。いやというほど疲れているのだが、一旦目が覚めたらもう眠れない。長い一日と長い夜の今日だった。つづく