2019.1.31(木)雨
石器時代というと簡単な石器の道具を使い、裸同然でくらしていたものと思いがちだがそうではなかった。エッツイ(エッツ渓谷の雪男の意)は必ずしも大王でもなく、有力者でもなく普通の庶民と考えられるが、その道具や衣類を見ると実に豊富で進んでいる。例えば短剣はフリント製(チャートの一種で石器背負い)だが斧は銅製で見事に加工されたものである。その他弓矢、背負籠、熾き入れや治療器具、薬剤まで様々な優れた加工品が発見されている。衣類については、帽子、マント、上着、ズボン、腰巻き、靴と材料は皮だが今日と変わらない種類が揃っている。そしてヨーロッパでは既に農耕と牧畜が始まっていたということである。おそらく縄文期の日本では農耕は始まっていなかったと思うのだが。
さて肝心の靴についてだが、それ以前にはヨーロッパ最古の靴は1874年にオランダで発見されたものとされ紀元前2500年とされていたが今回の発見で500年遡ってエッツイの靴が最古となった。
現在では2008年にアルメニアの洞窟で発見された靴が紀元前3500年のものとわかりこれが世界最古の靴である。靴の起源と言えばエジプトのサンダルが有名だが、それどころじゃなく古い時代に革製の靴があったということは驚きである。ただ、サンダルについては紀元前8000年前のものもあると聞く。
新石器時代に既に靴があったという事実は驚きである。しかもそれは基本的に現在のものと変わらない形状なのだ。靴底は縫い合わせではなく一体で、足首のところで縛るようになっている。最古のものは靴紐まである。日本では正倉院御物に靴らしきものがあるそうだが、一般に使用されるのは明治以降で、それまでに靴が普及しなかったのはひとえに季候が影響しているものと考える。つづく