2012.5.30(水)曇
もう二年ほど前になるだろうか、渡辺さんにおんじゃく石のことを聞いた。
「子供時分に使わへんだかい」と聞かれたが、わたしには憶えのないものだった。調べてみると、おんじゃく石とは温石石(おんじゃくいし)のことで、本来は温石(おんじゃく)という呼び方なのだろう。石を火で温めて布や綿にくるんで保温に使用する、いわば懐炉の元祖みたいなものである。滑石、蝋石、蛇紋岩、角閃岩などが適するとあったが、どのような石なのか見当もつかない。
雷雨のためサンドラ岩調査を諦めて、温石石を見に行くことにする。渡辺さんは河原で拾ったものを使ったと言うことで、その出所は解らないと言うことだった。ところが大唐内のどこかの家の裏にそれが出るということは、綱さんから聞いていた。西田さんのお宅によってその旨話すと、二つ返事でそのお宅へ案内してくれた。
小滝先生は温石石のことを話したら、「それは蛇紋岩ですね」と即座に言われていた。前述の原料の石はこの地方だと蛇紋岩しかないのだろうか。
大唐内の温石石(蛇紋岩)と名の由来の紋。ネオジウム磁石は強烈にくっつく。
温石石が出るという酒井さんの家の裏に廻ると、かなり大きな岩があり、家もこの岩を削って建てられているようだ。もともとは相当の岩塊かと思われる。
強い磁性があると先生に教えられ、持参の磁石をくっつけるとなるほどしっかり反応する。これが蛇紋岩か、図鑑で見ていてもちっとも解らないが実物を見ると一目瞭然だ。「温石石のことは知っていましたが、実際に使っていたという話は初めて聞きましたよ」と先生の弁である。
後で調べると、平安時代から江戸時代頃まで使っていたとある。上林じゃ戦後もまだ使っていたのだけれど。
サンドラ岩と温石石(蛇紋岩)、どちらも磁性あり。
さてこの蛇紋岩、磁鉄鉱、クロム鉄鉱を含むとある。磁性があるのは磁鉄鉱のなせる技である。渡辺さんが河原で拾っていたと言われるからには、別なところにも蛇紋岩が存在するのだろう。上林川の砂鉄の原料となっていることには間違いない。ただし、地質図にはこの地域に蛇紋岩の層があるようには見られず顕著な層は無いのだろうけど実際に存在はしているのである。
さて、蛇紋岩と言えば上林から上杉に抜ける黒石峠の施福寺に出るというので数年前に訪れたことがある。寺院の下の道路の脇に妙に表面が滑らかで光っている石を採取してきた。どこかに置いてあると思い探し出してみると、丁度蛇紋岩の蛇紋の部分のような感じの石なのだが、磁性はまるで無いのだ。一体この石はなんだろう。
施福寺の近くで採取した岩石。
いずれにしても黒石峠の名の由来はこの黒い蛇紋岩にあるのでは無いだろうか。
【作業日誌 5/30】
チューリップ掘り起こし
オクラ苗植えつけ
今日のじょん:何となく冬毛の抜ける時期が終了に近づいてきたかと言う雰囲気だが、果たしてどうだろうか。連日二回のファーミネーター掛け、二回の掃除機掛けを繰り返してきたが、モコモコとしていたのがほっそりとしてきたのでそろそろと期待している。
なんとなくほっそりとしてきたデショ。