2017.5.30(火)晴れ
池のピークからはやや東向きに向きを変えるが、尾根がだだっ広くてルートファインディングが難しい。といっても支尾根に迷い込むということはなく、歩きやすいルートを選ぶのが難しいということだ。一応ピンクのテープを巻いていく。広葉樹の気持ちの良いルートだが、蔦が絡まって痛々しい。やがて展望のきくピーク(450m)に飛び出る。遠く青葉山が望め、眼下には菅坂峠につづく旧道が見える。残念なのは鹿除けのネットで、檜の植林のため設けられたようである。ネットのピークと名付け、目途が立ったので昼食とする。
ネットのピークからの展望、右手に青葉山、左手に行く手の鉄塔が見える。
ネットは主稜線に沿って設けられているので、この脇をたどれば簡単に菅坂峠に着くだろうと思ったがそれは大間違いだった。ピークからすぐに道は途絶え、稜線上は背の高い草が生い茂っている。シデ山で教えてもらったオオバアサガラだと思う。獣道が舞鶴側に走っており、それをつなぎながら稜線から離れないように進む。ようやく道の消えた理由が解る。それはネットの仕業である。神子峠から北は訪れる登山者も少なく、主稜線の道(踏み跡)は実は獣達によって守られてきたようだ。ところがこの道に沿ってネットが設けられることによって獣がそこを避けて、通らなくなった。このネットは単に垂直に張られているだけでなく、足下に斜めに張られている部分が付属している。その部分がかつての稜線の道のようだ。獣に歩かれなくなった道は簡単に消滅してしまったということだ。
ネット脇の道は獣が通らなくなり消滅したようだ。
檜はそれなりに成長はしているが、世話がなされていないため用材となることは無いだろう。ネットは所々で倒木にやられて倒れている。大きな鹿がネットを飛び越えて逃げていった。そして子鹿がネットに引っかかって暴れている。なんとかしてやりたいが近づけば余計暴れるしどうしようも無い。離れたら落ち着いてはずれるかもしれない。「次来たとき、白骨になってるかも知れませんね」工忠君が心配そうだ。
逃げるようにその場を離れて草むらを進んでいくと、何とも言えない獣の匂いというか生臭い血の臭いがするところがあった。二人とも黙ったままで通り過ぎたが、あとで目を合わせて確認する。「何やったんですかね」「なんか死んでたんかなあ」
やがて正面に送電線の鉄塔が見えてくる。450mのピークの下にあるものだ。明るく開けているのでしばし休憩する。ふとズボンに目をやると無数のダニが這っている。あわてて払いのけ先を急ぐ。鉄塔には行かずその手前を迂回して進むと、踏み跡が現れて旧道に飛びでた。ネットのピークから後は何とも気味の悪いルートで、黄泉平坂(よもつひらさか)から脱出してきたような気分だ。おわり
旧道に飛び出てほっとする。