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円高・景気、雇用に壁 失業率低下は「求職断念」反映か

2011年10月03日 07時55分15秒 | 経済
 総務省が30日発表した8月の完全失業率は4.3%で、前月に比べ0.4ポイント低下と大幅に「改善」した。だが、実際は失業者が職探しをあきらめて労働市場から退出したことによる、見せかけの持ち直しという側面が強い。円高や景気の不透明感から「求める仕事がなさそうだ」と思う求職者が増えている公算が大きい。



 完全失業率は、仕事を探していた「完全失業者」が労働力人口にどれだけいるかを示す指標。学生や専業主婦などは、非労働力人口となり計算から外れる。職探しをあきらめて労働市場から退出した人も非労働力人口として失業率に含めない。雇用情勢をみるには失業者だけでなく非労働力人口の確認も必要だ。

 8月の完全失業者数は270万人となり、前の月に比べて24万人減った。解雇などで失業した人が9万人減ったほか、自発的に離職した人も18万人減った。これだけ見ると、雇用情勢は改善しているように読める。

 だが、8月の非労働力人口は前月に比べ20万人増えた。男性が19万人増と大きく伸びた上、女性も2万人膨らんだ。高齢化でリタイアしている人が増えていることから構造的に非労働力人口は増加傾向にあるが、8月の伸びは特に大きい。

 厚生労働省がまとめたハローワークでの雇用情勢をみると、有効求職者数は前月比0.8%減の260万人と2カ月連続で減った。「職探しをしばらく様子見する人が増えている」(ハローワーク新宿)との指摘が聞かれる。

 また、東日本大震災の影響で調査が一部地域しか実施できていない岩手・宮城・福島の3県は、データから除かれている。被災地を加えれば失業者はさらに多いはずだ。

 厚労省によると、8月の雇用調整助成金の対象者は96万人と半年ぶりに100万人を割り込むなど明るい兆しもある。一方で「円高を理由にした非正規労働者の雇い止めも出ている」(同省)という。

 景気の先行きと同様に、雇用情勢もしばらくは不透明な状況が続きそうだ。