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杉村太蔵「今は無職。あえて肩書きがあるとすれば『杉村太蔵』」

2011年10月12日 07時45分02秒 | お役立ち情報
 近頃、バラエティ番組などでもすっかりおなじみとなった杉村太蔵。タレント転向とも思える大活躍だが、彼は自身をタレントではなく、あくまで無職と言い切る。そこには転身に転身を重ね歩んできた、彼独特の仕事観があった。

                          *     *     *

――タレント活動もすっかり板についてきましたね。

「最初はこんなにバラエティ番組に出るとは思っていませんでしたよ。僕の何が面白くてテレビに呼ばれるのかいまだによくわかりませんから(笑)。実は昨年の参議院選で落選した後、政治家になる前にやっていた金融マンに戻ろうと考えていたんです。ドイツ証券っていう外資の会社なんですけど、かつての上司だったグレン・ウッドという人から戻ってこないかと誘われていて」

――えっ。そうだったんですか。

「実は僕が一番力を発揮できる仕事は金融なんです。自分でも株に投資していて、配当で家族を養っていますからね。ただ、金融マンに戻るにしても日本では働きづらいからシンガポールにでも行こうかなと考えていたら、テレビの出演依頼が入ってくるようになったんです。グレンも『今はマーケットが沈んでいるから景気がよくなってから戻ってくれば』と言ってくれているので」

――それで、今の活躍があると。

「わからないものですよね。会社に戻っていたらこの状況はないわけですから。そもそもグレンとの出会いも偶然でした。僕は大学を中退して就職もできず、オフィスビルの清掃員をやっていたんです。自民党本部の近くにある山王パークタワービルに配属されて、毎日、トイレや廊下の掃除をしていました。

 ある日、清掃しているときに、いかにもセレブな外国人に声をかけられたんですよ。『キミは若いし、そんなに頭も悪そうじゃない。1週間後、うちの入社試験をぜひ受けなさい』と。それがグレンで、すぐに試験を受けて、契約社員として彼の下で働くようになったんです」

――トイレ掃除から証券マン?

「ええ。それでドイツ証券ではグレンに言われて、当時、話題になっていた郵政民営化で見込まれる株価の変動について調べていたんです。そこでたまたま自民党のサイトにぶちあたったら、次期選挙の立候補者の公募をやっていて。よく見たら、一次審査の論文課題は『郵政民営化と構造改革について』。ちょうど自分が調べていたことだったこともあり、“応援してますよ”って小泉(純一郎)さんへのファンレターのつもりで論文を書いたんです。

 すると翌日に自民党本部から電話が来て『すぐ来られますか?』って言うじゃないですか。オフィスから自民党本部は目と鼻の先だったんですぐ行きましたよ。それが功を奏してか、運よく候補者になれたんです。人生いつ何が起こるかわからないし、一生懸命やっていれば必ずチャンスはやって来るもんです」

――まるでシンデレラのようなストーリーですが、今後、もう政治の世界に戻ることは?

「う~ん、それはまったくわかりませんね。仮に去年、当選していたら今の自分はないわけですし、何が災い転じて福となすか本当にわからない。だから今は、いただいたお仕事のひとつひとつを全力でやることしか考えていません」

――最近では「薄口政治評論家」という、ありがたくない肩書もついているようですが……。

「僕は人に何をどう言われようと、本当に気にならないんです。日本人というのは肩書が大好きですけど、僕は肩書なんてなくていいんです。今は無職ですし、あえて肩書があるとすれば『杉村太蔵』です。『タレントの杉村太蔵』ではなく、“杉村太蔵が、今、バラエティ番組に出ている”という発想です。杉村太蔵が時に政治活動をし、時に株のトレードをする。自分の名前が先にあっていろいろな仕事をする、という発想に転換するとすごくポジティブな気持ちになり、自分に責任を持って生きていける気がするんです」
――なるほど。確かに今年はCMに出たり、パンダの着ぐるみを着て取材を受けたり、パチンコ店の営業をしたり、と来る者拒まずの太蔵さんですが、そこに元国会議員だというプライドは邪魔しないんですか?

「これは持論なんですが、プライドっていうのは1円にもならないんですよ。残念ながら1円の経済効果も与えない。プライドでメシが食えるんだったらいいけど、むしろ障害になることのほうが多い。人間、自分のなかで自分が偉くなっちゃダメですよ。特に僕のような学歴も資格もない人間ならなおさらです」

――そんな太蔵さんが仕事をする上で、一番大事にしていることはなんですか?

「僕と仕事をしていただいた方や、一度お目にかかった方とは未来永劫、いい関係を築いていきたいと思ってるんです。また杉村と仕事したいなと思っていただくのが一番重要じゃないかと。困ったとき、アイツに相談したら解決してくれそうだとか、何か力を貸してくれそうだとか、みんなにとって便利な存在でありたいと思ってます」

――「便利な存在」とは、なかなか自分からは言えない言葉です。

「いや、仕事をする人間はそうあるべきだと思いますよ。例えばコンビニでバイトしていて、自分のバイト時間の終わり間際に店が忙しかったとします。そのとき『店長。僕、今日まだ時間ありますから手伝いますよ』のひと言が言えるか言えないかで、人生が変わってくると思うんですよ。しかもそのとき、タイムカードをきって“ボランティア”したら、店長、シビレますよね。もちろんそこにイヤらしい気持ちがあってはダメだけど、見てくれている人は必ずいます。人間力ってそういうものだと思うんです」

――アツイですね! 最後に、そんな太蔵さんは今後どこに向かっていくんでしょうか?

「僕の仕事の基本は金融です。グレンともよく話すんですが、『金融は人の命を救う』と思うんですよ。アフリカで太陽光ビジネスをやりたいという夢があるので、将来、もしかしたら資金を集めて電力会社を作っているかもしれない。かと思いきや、自分で映画を撮ったり本を書いているかもしれない。こればかりは本当にわかりません。まあ無職ですから、なんでも一生懸命やりますよ(笑)」

(取材・文/石塚 隆、撮影/佐賀章広)
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[FT]ユーロ危機があおる中国のバブル崩壊懸念

2011年10月12日 07時21分55秒 | 経済
 数週間前、顧客数で中国最大の銀行がひそかに経営幹部から成る代表団をギリシャに派遣した。中国農業銀行の代表団がギリシャを訪れたのは、危機に乗じてギリシャ農業銀行を買収するためでもなければ、中国の勢力拡大に一役買うためでもなかった。


■中国や東南アジアが危機波及を警戒




中国などが欧州債務問題の影響を懸念している(8月9日、雷雨に見舞われた北京市街)=ロイター

 訪問の目的はもっと根本的なもので、ユーロ圏の現状を調べる現地視察の一環だった。一連の視察は、中国がユーロ圏の状況を心配していることを裏づけている。そしてアジア諸国でユーロ圏について懸念しているのは中国だけではない。

 アジアは欧州の景気減速をおおむね冷静に観察してきたが、ここ数週間で、ユーロ圏の政府債務危機がアジアの経済全般と金融センターに深刻な問題をもたらしかねないという不安が広がった。

 シンガポールや近隣の東南アジア諸国は経済活動の大部分を国際貿易に依存しているため、アジアの中でも直接的に混乱の影響を受けやすい地域だ。弱気とはほど遠い銀行家でさえ、少なくともアジア経済と地域の銀行を襲った2008年のショックが再来する事態は覚悟している。当時、世界金融危機の第一波がアジア地域を2四半期連続のマイナス成長に陥れた。

 アジア諸国、さらにはその他多くの新興国が先進国の問題から逃れる安全な避難所だという古い考えは信ぴょう性を失った。2008年の出来事が示したように、グローバル化した世界には切り離された経済圏などは存在しないのだ。

 アジアは今、2段階の痛みに直面している。実際に欧米で起きたように金融市場で売買高が細るに従って、金融面で直接的な影響が感じられるようになる。市場が今ほど神経質になっている時には、地理的な違いにはほとんど意味がないように思える。安心感をもたらすのはベッドの下の現金だけだ。

 輸出業者が顧客を失っていくにつれ、貿易の枯渇が金融の減速をさらに悪化させる。中国ほどこの作用が強力な国はない。中国では今も、輸出が国内総生産(GDP)の3分の2近くを占め、銀行がこうした貿易の血液となっているからだ。


■バブル崩壊を示唆するもっともな理由が


 もちろん、「アジアの夢」を支持する向きが、どんな影響が生じても衝撃は緩和されると指摘するのは正しい。アジアの銀行システムは流動性があり、貯蓄率が高く、1997年のアジア危機後の厳格なルール作りによって自己資本比率が高まったため、ユーロ圏の多くの銀行にダメージを与える資金調達難から身を守れるはずだ。
 アジア経済の根本的な強さを裏づける確かな議論もある。不動産価格の高騰は、都市化という今なお続く力強い傾向が下支えとなっており、アイルランドとスペインに問題をもたらした投機的な不動産開発とはかなり異なる。

 だが、これは話の半分でしかない。中国、シンガポール、香港に広がる悪名高きアジアの不動産バブルが崩壊し、各地の銀行を道連れにすると考えられるもっともな理由がある。

 不動産のリスクは微々たるものだという金融機関の言い分は忘れた方がいい。確かに、銀行が抱える名目上の不動産向け融資残高は限定的だ。例えば中国農業銀行の開示情報では、同行の不良債権比率は住宅ローンの貸し出しでわずか0.5%、不動産デベロッパー向けの融資で1.2%だ。また、これらの融資先の分類は融資残高全体の4分の1に満たないという。


■貿易不振や信託会社が引き金に


 だが、明確な不動産の融資残高ばかりに焦点を合わせると、問題の核心を見失う。本当のリスクはドミノ効果の危険性に潜んでいる。そして、事態がかなり急速に暗転し始める潜在的な起点が少なくとも2つある。

 1つ目は、貿易経由という明白な流れだ。中国企業が輸出量の減少に見舞われたら、各社は融資の返済に苦しむことになるだろう。中国の景気刺激策が強制的な融資拡大を通じて実施され、新規融資が2009年に30%、2010年に20%増加したことに留意しておいた方がいい。




輸出の減少に見舞われた中国企業が連鎖的な危機を招く可能性がある(9月2日、青島港に集められたコンテナ群)=ロイター


 すると今度は銀行が、一部試算では不動産の90%以上に達する融資の担保の差し押さえに動く可能性がある。

 問題を引き起こしかねない2番目の引き金は「信託会社」に対する銀行の融資だ。規制が緩い信託会社は不動産会社への融資から手を引いた銀行の穴を埋めてきたが、ここへ来て、重圧がかかる兆しが見えている。中国の不動産神話が綻びを来すリスクは、かなり高いように思える。


■ユーロ圏が解決策を見つけなければ


 投資家は急速にこうした状況を理解してきた。中国の銀行は今、株式市場で純資産の価値と同等の水準で評価されている。半年前と比べても半分に落ち込み、ユーロ圏の一部銀行とほぼ変わらない状況だ。

 10日に株式市場で中国の銀行株を買い入れる介入策を打ち出した当局の対応は、大胆だった。だが、翻ってユーロ圏ではいまだに、地域の統合性を守り、銀行を破綻させずにおく解決策を見つけられるかどうかという著しい不確実性が存在する。

 もしユーロ圏が解決策を見つけることができなければ、中国の銀行と政策当局者は再び欧州に飛び、強硬に問題解決を迫ることになるのかもしれない。

By Patrick Jenkins
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