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米失業率8.6%に改善、市場予想を上回る 株式相場への影響は プロの見方

2011年12月03日 09時52分12秒 | 経済
 米労働省が発表した11月の雇用統計によると、失業率(季節調整済み)は前月比0.4ポイント低下の8.6%で、2009年3月以来、2年8カ月ぶりの低水準となった。非農業部門の雇用者数(季節調整済み)は前月比12万人の増加。市場予想は約12万3000人増だったが、9~10月の雇用者数が合計7万人強、上方修正されたことを考慮すると、事前の予想を上回ったといえそうだ。雇用統計の評価と株式相場への影響を市場関係者に聞いた。


 「米景気後退のリスク遠のく」

 SMBC日興証券シニアマーケットエコノミスト 嶋津洋樹氏

 雇用統計の結果は市場にとってはポジティブな材料となるだろう。失業率の低下には、労働参加率の低下という要因もあるが、民間雇用の増加も十分寄与している。個人的には雇用者数が月間で15万人程度増えれば、失業率は継続的に低下していくと試算しており、11月の雇用統計はこの試算に沿った内容といえる。夏場から米国のリセッション(景気後退)リスクを指摘する声が市場では多かったが、そのリスクは大きく遠のいている。米国の年末商戦が好調に推移していることもあり、関連銘柄への好影響が期待される。

 雇用統計を受けて注目されるのは米連邦準備理事会(FRB)の対応。バーナンキ議長などのハト派と、タカ派の追加緩和に向けた綱引きは当面は続く可能性が高い。この失業率の水準ではバーナンキ議長らハト派は引き続き追加緩和を模索するとみられる。

 来年も米景気は緩やかな回復を続けるだろう。財政面の制約は大きいが、夏場以降、在庫を絞ってきた企業が在庫積み増しに動くと予想している。この動きが米経済を支え、1~3月期は高い経済成長を達成するとみている。
 「日経平均、9000円を試す展開も」

 大和住銀投信投資顧問投資戦略部長 門司総一郎氏

 非農業部門の雇用者数は実質的には事前の市場予想を大きく上回る格好となり、株式相場にとっては好材料となるだろう。失業率の低下でFRBの追加緩和への期待が後退する可能性があり、外国為替相場が円安・ドル高方向に振れる可能性がある。そうすると、日本の輸出関連株にとってはポジティブで、日経平均株価は9000円を試す展開も考えられる。

 ただし、米経済の先行きについては、決して楽観視はできない。米景気は9月以降、良好な経済指標が相次いでおり底堅いが、欧州や中国の指標は悪化している。特に欧州の景気指標の悪化が顕著で、これらが米経済に今後、波及する可能性は十分にある。また米国の個人消費は雇用や所得の伸び以上に、貯蓄率の低下で支えられている部分が大きい。年末商戦の好調などが伝えられているが、消費の持続性には疑問があり、この点には注意が必要だろう。

(聞き手は佐藤俊簡)
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