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世界を揺るがす「パナマ文書」とは一体何か、公開の経緯と今後の展望

2016年04月14日 06時52分43秒 | ニュース
パナマの法律事務所、モサック・フォンセカ(Mossack Fonseca)からの大量の情報流出が4月3日に公表されて以来、この問題に世界中が大きく揺れている。各国の政治家や富豪をはじめ、多数の著名人の名が次々と挙げられる「パナマ文書」とは一体何なのか。これまでに明らかになっていることをまとめた。

モサック・フォンセカのホームページによれば、同社は「総合的な資産管理サービスを提供する」法律事務所だ。そして、同社はパナマをはじめ、タックスヘイブン(租税回避地)と呼ばれる国・地域を含む以下の法域で調査・顧問業務を行っている。

ベリーズ、オランダ、コスタリカ、英国、マルタ共和国、香港、キプロス、英領バージン諸島、バハマ、パナマ、英領アンギラ、セーシェル共和国、米領サモア、ネバダ州・ワイオミング州(米国)

流出した文書は約1,150万件の財務記録や法的記録などの機密情報。モサック・フォンセカが創設された1977年以来、約40年分の記録だ。これらのデータ量は、2.6テラバイト(2600ギガバイト)に上る。米国家安全保障局(NSA)が行っていた極秘情報の収集活動を暴露したNSAの元契約職員、エドワード・スノーデンが流出させた情報よりも膨大な量に及ぶ可能性がある。

情報公開までの経緯

独日刊紙、南ドイツ新聞におよそ1年前、ある匿名情報が寄せられた。情報提供者は見返りを要求せず、ただモサック・フォンセカに関する情報を提供したいとのことだった。「犯罪を公にしたい」とだけ、動機を語ったという。

南ドイツ新聞はその後、数か月かけて同社の内部文書や写真などを入手。それらを国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)と共有し、ICIJの提携メディアとも共同で、情報の分析を行った。今後、5月中にも追加情報を公開する予定だという。

各国・各界に広がる波紋

ICIJによる情報公開の結果として起きたことは、すでにさまざまなニュースソースやツイッターなどで伝えられているとおりだ。これらの人名や社名の多くには、聞き覚えがあるかもしれない。ICIJによれば、今年のフォーブスの世界長者番付の500位までに名を連ねた富豪29人も、これらの中に含まれているという。

以下の政治家は、データに氏名が含まれていたことが明らかになった人たちだ。

マウリシオ・マクリ(アルゼンチン大統領)、シグムンドゥル・グンロイグソン(アイスランド元首相、この件を受けてすでに辞任)、ナワズ・シャリフ(パキスタン首相)、サルマン・ビン・アブドルアジズ(サウジアラビア国王)、ペトロ・ポロシェンコ(ウクライナ大統領)、ハリファ・ビン・ザイド・ナハヤン(アラブ首長国連邦大統領)

また、ICIJによると、パナマ文書にはロシアのウラジーミル・プーチン大統領がオフショア(租税回避地)の口座に少なくとも20億ドル(約2,177億円)の資金を隠していたことを示すものもあった。だが、露政府は「憶測にすぎない」として、これを否定している。

さらに、このほか少なくとも40か国のリーダーたちの親族の名前が挙げられている。

イアン・ドナルド・キャメロン(デービッド・キャメロン英首相の亡父)、アラア・ムバラク(ホスニ・ムバラク元大統領の長男)、習近平・中国国家主席の子供たち

文書の中には、米政府当局が「ブラックリスト」に入れている33以上の個人と企業の名を記したものもあったという。メキシコの麻薬王との取引があった人物やテロ組織関係者、米政府が経済制裁の対象としてきた国(北朝鮮、イランなど)が含まれている。

一方、スポーツ関係者も無関係ではない。国際サッカー連盟(FIFA)の一連の大規模スキャンダルに関与したとされる人物と関わりがあるオフショア会社の名前も指摘されている。

オフショア会社は合法

オフショア会社やオフショア信託を設立すること自体は、違法ではない。この点を忘れてはならない。実際のところ、大半の国はこれらを法的に認めている。オフショア信託を使って課税を逃れたり、資産を隠したりすることが違法なのだ。

モサック・フォンセカはこの点に関連して、「当社のサービスが悪用されたのなら残念だ。悪用防止に向け、積極的に対策を講じている」と述べている。

今後の影響は─

数週間後には、新たな文書(そして恐らく別のビッグネームも)が公開されることになるだろう。

明らかにされる情報の影響は、ロンドンにも北京にも、世界中の各都市にも広がっていくはずだ。それらが世界の金融と税の透明性、そして市場に及ぼす影響は、現時点では計り知れない。