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ホテル清掃員不足深刻 訪日客増、建設ラッシュの陰で 「仕事ハード」応募少なく

2018年03月02日 08時33分51秒 | 経済
 「ホテル不足が話題になりますが、清掃員も足りません。休みは週に1回あるかどうか。休憩なしで死にそうです」-。福岡市内のホテルで客室清掃に携わっているという人物から、特命取材班に匿名の手紙が届いた。残業や休日出勤を強いられているという。建設ラッシュの続くホテル業界の舞台裏で、何が起きているのか。
 手紙には、九州のビルメンテナンス会社の名前が記されていた。記者は2月末、同社が清掃を請け負うホテルに客として宿泊。忙しい時間を避けて複数のスタッフに話を聞いた。「週1回は休めています」という声もあったが、あるスタッフはこう証言した。「今月の休みはまだ2日だけ。頼まれれば出ないといけない。きつい」
 清掃作業はチェックアウトが始まる午前10時ごろから、宿泊者が入る午後3時ごろまでに集中する。ホテルの規模によるものの、清掃は1人10部屋前後を担当するのが通例。前出のスタッフは「今日は20部屋以上やりました」と話した。
 同社に取材した。マネジャーは「人手不足は事実だが、現場では出勤簿を付けて管理している。スタッフには週1回、休みを取らせている」と否定した。
 同社ではスタッフが1日に清掃する部屋数を決めており、就業時間内にノルマを果たせば業務は終了し、清掃が終わるまでは残業する。さらに多くの部屋を清掃すれば歩合給を渡すという契約で、残業代も支払っているという。
 手紙の内容や証言とは食い違いもあるようだが、マネジャーは「(不正は)あり得ない」と言い切った。
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 インバウンド(訪日外国人)需要の急伸や2020年の東京五輪・パラリンピック開催でホテル業界が活況に沸く中、清掃業者は人手不足にあえいでいる。
 専門誌「週刊ホテルレストラン」を発行する「オータパブリケイションズ」(東京)によると、人手不足は4~5年前から全国的に激化。ビルメンテナンス会社の人件費や求人広告費が上がる一方、ホテルも施設改修・維持費の負担が大きいため、客室清掃の委託料を値上げしにくいという。
 清掃業者らが加盟する「福岡県ビルメンテナンス協会」によると、福岡市内の客室清掃員の募集時給は16年度の883円(12施設平均)から、17年度に925円(17施設平均)に上昇。それでも、人材は飲食業やコンビニなど他の産業に流れている。「仕事がハードで離職が多く、求人を出しても応募がないことも」と西田光博副会長。人手を確保できず、ホテルの依頼を断る業者もいるという。
 物流などさまざまな業界で顕在化する人手不足。日本人に代わって現場を支えるのは外国人労働者だ。清掃業界でも、ベトナムやネパール出身の留学生が増えている。ただ、留学生には入管難民法が定める就労制限(週28時間)の壁があり、平日には授業もある。業者からは「衛生観念が異なる面もあり、新人教育が難しい」との声も漏れる。
 福岡市観光産業課によると、市内のホテル・旅館の部屋数は15年時点で2万4495室。19年までに約2万8千室に増える見込み。さらに人手不足が深刻化する恐れがある。全国のホテルで客室清掃を担う大手業者の幹部は警鐘を鳴らす。「国を挙げて観光立国を掲げても、裏方の確保まで考えないと、良質なおもてなしはできない」
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