お役立ち情報ブログ

日々の生活やビジネスにおいて役に立ちそうな情報を収集、公開しています。

日本の給料は「先進国で最下位争いをするレベル」…日本経済をここまでのドン底に突き落としたものの「正体」

2022年12月14日 07時40分23秒 | 日本の衰退

気鋭のエコノミスト永濱利廣氏は『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』で、「低所得・低物価・低金利・低成長」の「4低」状況を「日本病」と名付け、その原因と、脱却の道筋を考察する。

日本の実質賃金は主要先進国中いかに低いかバブル崩壊はなぜ日本を「病」に罹らせたのか。『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』から見てみよう。

イタリアと最下位を争う日本の実質賃金

日本が安いのは物価だけではありません

図表1-3は、主要先進国と言われるG7諸国(日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ)+韓国の1年あたりの平均実質賃金を算出したグラフです。日本のずいぶん低い位置が気になると思いますが、まずは用語を説明しておきます。

 
日本の給料は「先進国で最下位争いをするレベル」…日本経済をここまでのドン底に突き落としたものの「正体」
日本の給料は「先進国で最下位争いをするレベル」…日本経済をここまでのドン底に突き落としたものの「正体」© 現代ビジネス

縦軸にある購買力平価とは、わかりやすく言えば、「ビッグマック指数」を、すべての財・サービスに換算したようなものです。もう少し正確に言うと、自国通貨と外国通貨で同じものを購入できる比率で算出された為替レートです。これで実質賃金を比較しています。

例えば、同じ量、同じ品質の製品がアメリカで1ドル、日本で150円だった場合には、実際の為替が1ドル=116円だったとしても、1ドル=150円として考えるということになります。

なぜこれを使うかと言えば、国家間で物価水準が異なるからです。もし賃金の額面が他国より小さかったとしても、国内の物価がさらに安ければ、相対的にモノやサービスをたくさん手に入れることができますし、逆もまたしかりです。

つまり「購買力平価」で見ることで、単に為替レートで単位を揃えただけでは見えてこない、より生活実感に近いかたちでの国際比較ができるのです。

さて、このグラフを見ると、圧倒的に飛び抜けているのがアメリカです。2000年から高水準で伸び続け、2020年時点での実質賃金は7万ドル(750万円)に届く勢いです。これにカナダ、ドイツが5万5000ドル(590万円)前後で続きます。

一方で日本は、イタリアに次いで低い位置にいます。2015年以降は韓国にも抜かれ、差がひらいています。イタリアはコロナ・ショックの影響で2020年は最下位になりましたが、2000年以降2019年まで、日本はイタリアより低い賃金でした。

長い間、賃金が上昇していない国も日本とイタリアだけです。日本は0.4%、イタリアはマイナス3.6%(ただし2019年時点ならプラス2.5%)で、2000年からの20年間、実質的に「昇給ゼロ」状態だったことを示しています。

対してアメリカは25.3%、カナダは25.5%、イギリスは17.3%、韓国に至っては43.5%と、世界の国々の賃金は右肩上がりで伸びています。

いかに日本の経済が、長期的に停滞しているかがわかります。

なお、韓国が順調に賃金上昇しているのは、最低賃金を段階的に引き上げ続けていることも大きな要因です。2013年~2017年の引き上げ率の平均値を見ると7.2%で、さらに2018年からは文在寅政権が10%を超える大幅な最低賃金の引き上げを行いました。

この間、安い人件費でなんとかもっていたような中小企業はかなり姿を消して失業者も増えましたので、必ずしも良いことばかりではないのですが、国全体の賃金上昇には貢献したと言えます。

 

バブル崩壊がなぜ日本病を招いたのか

日本病の様子は、「賃金上昇率」「インフレ率(物価上昇率)」「長期金利」「経済成長率」を並べてみても、よくわかります(図表1-4)。

 
日本の給料は「先進国で最下位争いをするレベル」…日本経済をここまでのドン底に突き落としたものの「正体」
日本の給料は「先進国で最下位争いをするレベル」…日本経済をここまでのドン底に突き落としたものの「正体」© 現代ビジネス

「長期金利」は先々の期待なども織り込みながら動くので滑らかですが、実体経済を表す「賃金上昇率」や「インフレ率」「経済成長率」はギザギザしながらも右肩下がりのトレンドです。そしていずれも、1990年前後のバブルの頃の値を超えていません。

日本はバブル崩壊以降、低所得・低物価・低金利・低成長の4低」時代に突入し、30年後の今なお日本病から抜け出せていないのです。

では、なぜバブルが崩壊するとこういう状況になりやすいのでしょうか。

「バブル」とは、株や土地などの資産価値が実態より過剰に上がってしまうことです。

そのため、例えば不動産を担保にお金を借りる場合にも、その不動産の実力以上に高額なお金を借りられてしまいます。

バブルが弾けたら当然、資産価値は下がりますが、借りたお金の額面は変わりません。売ろうにも、不動産の実力相応か、それ以下の値段でしか売れませんから、借りたお金が返せなくなります(過剰債務)。

こうして回収困難となった貸付金(貸し手側から見た債権)が「不良債権」です。バブル崩壊後の日本で、いちばん経済の足かせになったのがこの不良債権問題でした。

「経済が良くなる」とは、稼いだお金がモノやサービスの消費に使われて、世の中のお金の循環が良くなることです。

しかし過剰債務になると、モノやサービスにお金を使う前に、まず借金を返済しなければなりません。稼いだお金が借金返済に回ってしまうため消費に結びつかず、消費が低迷していきます。

モノが売れないので賃金が上がらない。賃金が上がらないので消費を控える──こうして、デフレに陥っていきました。


「発達障害」クラスに3人の“衝撃”…「もしかしたら」と感じたら早めに受診を 早期の“療育”が効果的

2022年12月14日 07時35分58秒 | 福祉

公立小中学校の通常学級に、発達障害のある児童生徒が8.8%在籍していると推定されることが12月13日、文部科学省の調査で分かった。

「発達障害」クラスに3人の“衝撃”…「もしかしたら」と感じたら早めに受診を 早期の“療育”が効果的
「発達障害」クラスに3人の“衝撃”…「もしかしたら」と感じたら早めに受診を 早期の“療育”が効果的© FNNプライムオンライン

35人学級なら3人ほどが該当する。

2012年の前回調査から2.3ポイント増えた。

【画像】発達障害の症状は連続的で重なり合う…ASDの人にADHDの症状も

生まれつきの「脳の働き方の違い」…男女比は2.3対1

教員の判断を基にしているので、文科省は「発達障害の児童生徒が増加したのではなく、教員側の理解が深まり『該当する』との判断が増えた」と分析している。

いずれにしろ、「クラスに3人」という数字は“衝撃的”とも言える。

これは「通常学級」の児童生徒を調査した結果なので、「支援学級」等を含めると、その割合はもっと高くなるだろう。

発達障害は、脳の働き方の違いによって、コミュニケーションや対人関係を築くことが苦手なことがあり、社会生活上で生きづらさを感じることが少なくない。

生まれつきの脳の機能障害であって、「親のしつけ方・育て方が悪い」「親の愛情不足」といったことが原因ではない。

妊娠中の羊水検査、血液検査、エコー写真などで判明することもない。出生後も、遺伝子検査や血液検査といった生理学的な検査では診断できない。

また、各国共通して、女性よりも男性に多い傾向がみられる。

日本で発達障害と診断された人の数を男女別でみると、男性の割合が68.8%、女性の割合が29.9%(不詳1.3%) 。男女比は、男性2.3・女性1となる。

ただ、なぜそうなるのかはわかっていない。

 

2種類の症状を併せ持つことも多い

発達障害の症状は多様だが、以下の3種類に分類される。

自閉スペクトラム症(ASD)

・話し言葉の遅れ

・言語による指示が理解できない

・たとえ話がわからない

・特定の手順の繰り返しにこだわる

・興味ある領域に関する膨大な知識…など

学習障害(LD)

「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」という5つの能力に困難があるが、多くの場合、全てではなく、一部の能力だけに困難がある。

注意欠陥多動性障がい(ADHD)

不注意(集中力がない・気が散りやすい)、多動性(じっとしていられない・落ち着きがない)、衝動性 (順番を待てない・考える前に実行してしまう)の3つの要素がみられる障害。

それぞれの症状が重なり合っていることも多く、ASDの人がLDやADHDの症状を併せ持つ場合なども多くみられる。

 

発達障害は「遺伝」するのか

発達障害の原因である脳の機能障害は、なぜ生じるのか?

発達障害の原因については、まだはっきりとは解明されていないものの、「遺伝子的要因」「環境的要因」の2つが関係していることがわかってきている。

自閉症スペクトラムのきょうだいがいる場合、もう一人もそうである確率について、アメリカで研究が行われた。

その結果、一卵性双生児の時は77%、二卵性は31%、通常のきょうだいは20%だった。

このことによって、遺伝が関係していることはわかった。

同時に、遺伝子が同一であるはずの一卵性双生児の場合でも100%という結果ではなかったため、遺伝子以外の要素が絡んでいることも明確になった。

それが「環境的要因」ということになる。

では、どんな「環境」が発達障害の原因となるのか。

胎児期や出生後に脳や心身が発達する中で、様々な環境の影響を受けるが、どういった要因が関係するのか、まだはっきりとはわかっていない。

また遺伝的な要因と言っても、親から子へ単純に遺伝するとは言えない。

現在は、発達障害には、なんらかの遺伝的要因が関わっているが、その他のさまざまな環境要因と複雑に影響し合って発現するという考えが主流になっている。

 

発達障害は治療できるのか

では、発達障害は治療できるのだろうか。

発達障害を完全に治療する薬や手術などの医学的な方法は現在 存在しない。

しかし、早期からの「療育(社会的に自立できるように取り組む治療と教育)」は、症状改善に大きな効果があるとされている。生活の適応能力を高めることが可能になる。

そして、療育訓練は早ければ早いほど良いと言われている。

もし、ご自身の子供が発達障害では…と感じたら、早く専門の医療機関を受診することが望ましい。

ADHDの場合、服薬を取り入れることもある。脳内の神経伝達物質の不足を改善する働きがあり、症状が緩和する。

(小林晶子 医学博士・神経内科専門医)