米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は17日、事実上のゼロ金利政策を維持することを決めた連邦公開市場委員会(FOMC)後に記者会見し、政策決定の理由などを説明した。会見でのやりとりの要旨は以下の通り。
――世界の経済状況によっては、利上げまでに相当時間がかかる可能性もあるのか。
FOMCのメンバーの大半が(政策金利である)FF(フェデラルファンド)金利を今年末までに引き上げると予想し、4人は利上げが来年以降と予測している。先行きの不透明さは常にあることで、完全に払拭されることはないだろう。世界経済と金融市場の動向について、米国への影響を精査するためにはもう少し時間が必要と考える。
物価見通しはこれまでよりやや軟化した。原油価格の下落とドル高が近い将来の物価上昇率への重荷となっている。この状況を踏まえ、雇用情勢の一段の改善が物価上昇率の2%への上昇に中期的につながっていくかどうかを注視したい。
――10月のFOMCでは記者会見は予定されていないが、利上げ実施の可能性のある会合の一つと位置づけていいのか。
すべてのFOMCで金融政策の変更ができる。仮に10月に利上げに踏み切る場合には、記者会見を開催するだろう。米国内経済は堅調であり、需要は着実に拡大している。雇用情勢も改善基調が続いている。今後、世界の金融市場の状況を注視しながら、国内景気の拡大が続くことにより、物価上昇率が2%に戻るという確信が得られれば利上げに踏み切れる。
――利上げに批判的な意見はFOMCにどう影響したか。
エコノミストや利害関係者から多くの意見をもらった。異なる意見の表明は貴重なことだと受け止めている。しかし、金融政策を決めるのは我々FOMCメンバーである。これまで改善に遅れの目立った労働参加率も上昇基調となっている。インフレと雇用情勢の両方が完全に目標に達するのを待って利上げをするということはしたくない。金融政策の効果が表れるのには時間差があるからだ。
――前回のFOMCから2カ月の間にインフレ目標のゴールが近づいたのか遠のいたのか。
前回と今回のFOMCの間に景気に対する我々の自信が揺らいだとはみていない。物価上昇への重荷となっている原油価格の下落とドル高の影響は一時的なものとみている。中期的には2%の物価上昇率目標に達すると我々は予想している。雇用情勢の改善が続き、完全雇用状態になれば物価上昇にもつながる。我々は物価が目標に達するという「期待」だけでなく、かなりの「確信」を持てるようにしたい。
例えば賃金上昇率の低下がインフレ期待にどう影響するかを測るのは難しく、米国債や物価連動国債の流動性、あるいはその他のリスクプレミアムに関連してインフレ期待が下がることもある。こうした不透明な部分に着目し、雇用情勢全体の改善についてもう少し自信を持ちたい。
――失業率が大きく低下しても物価上昇率は2%の目標に達しないのは、近年のFRBの政策が景気の回復に十分機能しなかったためでは。
ゼロ金利政策、景気・金利見通しの発表、量的緩和と、我々は景気浮揚のためにできる限りのことをやってきた。その結果、失業率はFOMCメンバーの目標水準に近づいた。物価上昇率が2%の目標に達するのに2018年までかかると予想するのは、輸入価格とエネルギー価格の上昇にかなりの時間がかかるからだ。ただ、雇用情勢の改善が続き、失業率が目標よりもさらに低下すれば、物価上昇率の目標に予想よりも早く達することもあるかもしれない。
物価上昇率の適正な制御はFRBの信頼に関わることであり、現在の政策により、中期的に2%の物価上昇率目標を達成できると信じている。
――世界の経済状況によっては、利上げまでに相当時間がかかる可能性もあるのか。
FOMCのメンバーの大半が(政策金利である)FF(フェデラルファンド)金利を今年末までに引き上げると予想し、4人は利上げが来年以降と予測している。先行きの不透明さは常にあることで、完全に払拭されることはないだろう。世界経済と金融市場の動向について、米国への影響を精査するためにはもう少し時間が必要と考える。
物価見通しはこれまでよりやや軟化した。原油価格の下落とドル高が近い将来の物価上昇率への重荷となっている。この状況を踏まえ、雇用情勢の一段の改善が物価上昇率の2%への上昇に中期的につながっていくかどうかを注視したい。
――10月のFOMCでは記者会見は予定されていないが、利上げ実施の可能性のある会合の一つと位置づけていいのか。
すべてのFOMCで金融政策の変更ができる。仮に10月に利上げに踏み切る場合には、記者会見を開催するだろう。米国内経済は堅調であり、需要は着実に拡大している。雇用情勢も改善基調が続いている。今後、世界の金融市場の状況を注視しながら、国内景気の拡大が続くことにより、物価上昇率が2%に戻るという確信が得られれば利上げに踏み切れる。
――利上げに批判的な意見はFOMCにどう影響したか。
エコノミストや利害関係者から多くの意見をもらった。異なる意見の表明は貴重なことだと受け止めている。しかし、金融政策を決めるのは我々FOMCメンバーである。これまで改善に遅れの目立った労働参加率も上昇基調となっている。インフレと雇用情勢の両方が完全に目標に達するのを待って利上げをするということはしたくない。金融政策の効果が表れるのには時間差があるからだ。
――前回のFOMCから2カ月の間にインフレ目標のゴールが近づいたのか遠のいたのか。
前回と今回のFOMCの間に景気に対する我々の自信が揺らいだとはみていない。物価上昇への重荷となっている原油価格の下落とドル高の影響は一時的なものとみている。中期的には2%の物価上昇率目標に達すると我々は予想している。雇用情勢の改善が続き、完全雇用状態になれば物価上昇にもつながる。我々は物価が目標に達するという「期待」だけでなく、かなりの「確信」を持てるようにしたい。
例えば賃金上昇率の低下がインフレ期待にどう影響するかを測るのは難しく、米国債や物価連動国債の流動性、あるいはその他のリスクプレミアムに関連してインフレ期待が下がることもある。こうした不透明な部分に着目し、雇用情勢全体の改善についてもう少し自信を持ちたい。
――失業率が大きく低下しても物価上昇率は2%の目標に達しないのは、近年のFRBの政策が景気の回復に十分機能しなかったためでは。
ゼロ金利政策、景気・金利見通しの発表、量的緩和と、我々は景気浮揚のためにできる限りのことをやってきた。その結果、失業率はFOMCメンバーの目標水準に近づいた。物価上昇率が2%の目標に達するのに2018年までかかると予想するのは、輸入価格とエネルギー価格の上昇にかなりの時間がかかるからだ。ただ、雇用情勢の改善が続き、失業率が目標よりもさらに低下すれば、物価上昇率の目標に予想よりも早く達することもあるかもしれない。
物価上昇率の適正な制御はFRBの信頼に関わることであり、現在の政策により、中期的に2%の物価上昇率目標を達成できると信じている。
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