韓国経済の苦境が一段と鮮明になってきた。ガリバー企業のサムスン電子が市場の予想を大きく下回る業績見通しを発表したが、今後も企業の業績悪化が相次ぐ「決算ショック」拡大への懸念が強まっているのだ。円安ウォン高や内需不振などの課題を解決する気配すらない朴槿恵(パク・クネ)政権に対し、韓国メディアは「アベノミクスに劣勢」「『子どもは無職、父は失業者』の韓国」と批判をエスカレートさせている。
「アーニング(業績)・ショック」-。サムスンが7日、2013年第4四半期(昨年10~12月)の業績予想を発表すると、韓国メディアは相次いでこう報じた。
同社の営業利益は前年同期比6%減の8兆3000億ウォン(8160億円)と、証券各社のアナリストが事前に予想した数値の下限を下回った。実は年初から、サムスンの株価だけでなく、韓国市場を代表する指標である総合株価指数も急落していた。サムスンの発表によって市場の懸念が裏付けられる形となったのだ。
今月中旬から2月にかけて、韓国の主要企業が第4四半期の決算発表をする予定だが、独り勝ち状態だったサムスンが沈み始めたのをきっかけに、予想を下回る業績発表が相次ぐのではないかとの見方が韓国市場で強まっている。聯合ニュースは、「上場企業の昨年第4四半期の業績は、市場の期待を下回り、1~2月の国内株式市場を強く押さえ付ける悪材料になる」という市場関係者の警告を紹介。企業が不良資産の整理など損失要因を第4四半期に反映させる恐れがあると報じている。
輸出関連の製造業に偏重している韓国経済にとって悪夢となったのが為替のウォン高だ。韓国の対日輸出額は昨年1~11月期に10・5%落ち込んだ。サムスンの業績悪化にもウォン高が影響したとみられる。
ウォン安を武器に米国でシェアを拡大していた自動車メーカーにも急ブレーキがかかった。昨年の米自動車市場で、トヨタやホンダ、日産、スバルなど日系メーカーがそろって販売台数を大幅に伸ばしたのに対し、現代(ヒュンダイ)自動車と子会社の起亜は減少。競争力の低下が浮き彫りになった。
企業業績の悪化懸念を受けて、信用不安も高まっている。韓国銀行(中央銀行)が金融機関を対象に行った調査によると、融資のリスク度の高さを示す「信用リスク指数」は、昨年10~12月期時点でプラス16と、リーマン・ショック後の2009年4~6月期以来の高水準となった。今年1~3月の見通しについてもプラス16のままで、金融機関が大企業向け融資に慎重になっている様子が浮かび上がる。
朴大統領は「クネノミクス」なる経済政策を掲げて登場したが、就任から1年が過ぎても内需不振や家計の債務問題にも手つかずで、頼みの輸出企業も業績悪化という内憂外患という現実。就任後初の国内での記者会見を開いて経済重視を強調したが、韓国メディアの反応は冷淡だ。
中央日報は「アベノミクスに劣勢のクネノミクス」と題したコラムの中で、「円安の逆襲で韓国企業は悲鳴をあげている」としたうえで、朴政権の経済政策について「良い政策目標はすべて含んでいる。しかし経済学原論は『すべてを満足させる政策が最も悪い政策』とする」と苦言を呈した。
朝鮮日報は「『子どもは無職、父は失業者』の韓国」と題したコラムで、「政権の発足から1年たとうとしているが、内需不況を打開する対策は打ち出せずにいる」と指摘、「経済政策では、非常に単純な目標、実現可能な具体的な方法、そしてそれを主導するリーダーシップが重要だ。朴槿恵政権の経済チームは、このうちどれか一つでも備えているだろうか」と朴大統領本人を名指しこそしないものの、経済チームの総入れ替えを提言している。
アジア経済に詳しい企業文化研究所理事長の勝又壽良氏は、「韓国国内では、ひところの日本経済に対する思い上がった態度について反省の色が濃くなっている。円高ウォン安から円安ウォン高に転換したことで、これまで覆い隠されていた日韓の技術格差をいや応なく認識させられているからだ。日本批判の『告げ口外交』を続ける朴大統領が批判されるのも当然だろう」と語る。
韓国メディアのニュースウェイは「世界的な景気回復にもかかわらず、今年を『最悪の年』とみる金融機関が多い」と報じた。韓国経済にとって試練の2014年は始まったばかりだ。
「アーニング(業績)・ショック」-。サムスンが7日、2013年第4四半期(昨年10~12月)の業績予想を発表すると、韓国メディアは相次いでこう報じた。
同社の営業利益は前年同期比6%減の8兆3000億ウォン(8160億円)と、証券各社のアナリストが事前に予想した数値の下限を下回った。実は年初から、サムスンの株価だけでなく、韓国市場を代表する指標である総合株価指数も急落していた。サムスンの発表によって市場の懸念が裏付けられる形となったのだ。
今月中旬から2月にかけて、韓国の主要企業が第4四半期の決算発表をする予定だが、独り勝ち状態だったサムスンが沈み始めたのをきっかけに、予想を下回る業績発表が相次ぐのではないかとの見方が韓国市場で強まっている。聯合ニュースは、「上場企業の昨年第4四半期の業績は、市場の期待を下回り、1~2月の国内株式市場を強く押さえ付ける悪材料になる」という市場関係者の警告を紹介。企業が不良資産の整理など損失要因を第4四半期に反映させる恐れがあると報じている。
輸出関連の製造業に偏重している韓国経済にとって悪夢となったのが為替のウォン高だ。韓国の対日輸出額は昨年1~11月期に10・5%落ち込んだ。サムスンの業績悪化にもウォン高が影響したとみられる。
ウォン安を武器に米国でシェアを拡大していた自動車メーカーにも急ブレーキがかかった。昨年の米自動車市場で、トヨタやホンダ、日産、スバルなど日系メーカーがそろって販売台数を大幅に伸ばしたのに対し、現代(ヒュンダイ)自動車と子会社の起亜は減少。競争力の低下が浮き彫りになった。
企業業績の悪化懸念を受けて、信用不安も高まっている。韓国銀行(中央銀行)が金融機関を対象に行った調査によると、融資のリスク度の高さを示す「信用リスク指数」は、昨年10~12月期時点でプラス16と、リーマン・ショック後の2009年4~6月期以来の高水準となった。今年1~3月の見通しについてもプラス16のままで、金融機関が大企業向け融資に慎重になっている様子が浮かび上がる。
朴大統領は「クネノミクス」なる経済政策を掲げて登場したが、就任から1年が過ぎても内需不振や家計の債務問題にも手つかずで、頼みの輸出企業も業績悪化という内憂外患という現実。就任後初の国内での記者会見を開いて経済重視を強調したが、韓国メディアの反応は冷淡だ。
中央日報は「アベノミクスに劣勢のクネノミクス」と題したコラムの中で、「円安の逆襲で韓国企業は悲鳴をあげている」としたうえで、朴政権の経済政策について「良い政策目標はすべて含んでいる。しかし経済学原論は『すべてを満足させる政策が最も悪い政策』とする」と苦言を呈した。
朝鮮日報は「『子どもは無職、父は失業者』の韓国」と題したコラムで、「政権の発足から1年たとうとしているが、内需不況を打開する対策は打ち出せずにいる」と指摘、「経済政策では、非常に単純な目標、実現可能な具体的な方法、そしてそれを主導するリーダーシップが重要だ。朴槿恵政権の経済チームは、このうちどれか一つでも備えているだろうか」と朴大統領本人を名指しこそしないものの、経済チームの総入れ替えを提言している。
アジア経済に詳しい企業文化研究所理事長の勝又壽良氏は、「韓国国内では、ひところの日本経済に対する思い上がった態度について反省の色が濃くなっている。円高ウォン安から円安ウォン高に転換したことで、これまで覆い隠されていた日韓の技術格差をいや応なく認識させられているからだ。日本批判の『告げ口外交』を続ける朴大統領が批判されるのも当然だろう」と語る。
韓国メディアのニュースウェイは「世界的な景気回復にもかかわらず、今年を『最悪の年』とみる金融機関が多い」と報じた。韓国経済にとって試練の2014年は始まったばかりだ。
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