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資産家は要注意 「海外に5000万円」なら申告義務

2013年12月22日 08時28分33秒 | お役立ち情報
 税の申告漏れ防止を目的に今年末から、国外に5千万円を超す財産がある人は国外財産調書の申告が義務付けられる。今年分の提出期限は来年3月17日。税務当局は調書をどう使うのか。個人はどう対応すればよいだろう。

 「取引相場は4千万~5千万円台と幅がある。申告すべきか」。米国のハワイにコンドミニアム(分譲マンション)を持つ神奈川県在住の吉田伸二氏(仮名、60)は悩んでいる。


■戸惑う富裕層


 国外財産はコンドミニアムだけ。老後をハワイで過ごそうと思い1998年に約1億円で購入。2008年のリーマン・ショック後、価格は大幅に下がったという。ところが最近、顧問税理士から国外財産調書の申告制度が始まることを聞き、調べてみると申告が必要か微妙な水準。目下、税理士と対応を相談中だ。

 「国外に持つマンションは来年売るのに……」とぼやくのは東京都に住む香山忠氏(仮名、66)。東南アジアで人材派遣業をしており、現地に事務所(事業用不動産)と滞在用マンションを保有する。資産価値は5千万円を超えるが、マンションは相場が上昇したので売ることにした。売却益を確定申告をするので、調書の提出は不要と思っていたが、税理士から「年末時点で持っているなら申告を」と説得されている。

 国外財産調書制度の始動を控え国外に財産を持つ人たちが対策に動き始めた。同制度は年末に5千万円を超す国外財産がある個人に種類や価額を税務署に申告させるもの(表A)。近年増えている国外財産の申告漏れ是正が目的だ。
 国税庁の今年6月までの1年間のまとめによると、所得税の申告漏れ1件当たりの金額は839万円だが、国外取引をする人に絞ると1.8倍の1551万円に。相続税でも国外財産の申告漏れ1件あたりの金額は2327万円になる。当局は以前から国外財産を重点的に調査しており、調書導入で国民の国外財産を網羅的に把握する狙いだ。


■送金記録など調査


 では、当局は国外財産調書をどう活用するのか。まずは「国外財産の状況とその年の確定申告の整合性を見ること」(税理士の藤曲武美氏)だろう。

 たとえば国外財産調書に国外の預金を記載しているのに、利子の申告がないケースだ。預金の利子は20.315%(所得税と住民税、復興特別所得税の合計)の源泉分離課税だが、これは銀行の国内支店に口座があり、国内で利子が支払われる場合。国外の口座にある預金の利子は国外で受け取るため、日本で源泉徴収(天引き)はされない。そのため、国外財産の利子収入として確定申告をする必要がある。

 日本国民には、国外で運用などにより得た所得も、給料などと合わせて申告をする義務がある。それを知らない人は多く「来年は修正申告を求められる人が、かなり増えそう」(税理士の阿保秋声氏)という。
 当局は「国外送金等調書」も参考にするだろう。これは1回当たり100万円超の国外金融機関との入金・送金について、金額や目的などを国内金融機関が税務当局に提出するもの。国外から運用益など多額の入金があり、多数の国外送金等調書が提出されている人が、国外財産調書を提出していない場合は「調査対象になる可能性がある」(税理士の岡田俊明氏)。

 もっとも、国外財産調書には「個人の申告に委ねる点で限界がある」(複数の税理士)との見方もある。個人が国外に住む間に蓄積し、置き続けている資産を日本の当局が把握するのは難しい面がある。原則、国外での調査はできないため本人申告に頼るしかない。

 そのためか「調査のきっかけになる調書をわざわざ出す必要はないのでは」と顧客に問われ、困り切る税理士は少なくない。ある税理士法人の担当者は「国外財産の運用益など申告したことがないとの声も富裕層に目立つ」と打ち明ける。

 だが、調書を提出しない人へのペナルティーは厳しい。「過去の申告漏れを隠したい」との理由で国外財産を申告しなかった場合、「正当な理由なく提出しなかった」とされ、刑事罰の対象となり、懲役刑を受ける可能性がある。運用益などの申告漏れが見つかった際に、その財産が国外財産調書に記載されていなかった場合も、加算税が通常より増える。

 本人が申告しなくても、当局には奥の手もある。外国当局から情報を独自に入手する方法だ。各国との協定などで「国外財産の把握網が整いつつあることは間違いない」(国際税務に詳しい元仙台国税局長の川田剛氏)。 国外財産調書を提出する上で、気をつけるべき点は何か。まず重要なのは「国外財産か国内財産かを見極めること」(税理士法人・山田&パートナーズの田場万優税理士)。預金は、預け先金融機関の所在地が判断基準となる。

■株高で適用対象に

 財産の価額では、特に土地や建物など不動産の評価に注意が必要だ。「取引相場のほか、現地の固定資産税にあたる税金の課税標準額なども調べる必要がある」(辻・本郷税理士法人の木村信夫税理士)

 米国株の上昇で年末に一時的に5千万円を超えそうな人はどうするか。国税庁では「一時的にせよ5千万円を上回れば提出を」と呼び掛ける。来年売却予定の人も面倒だが提出しておく方が無難だろう。(編集委員 後藤直久)

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