就職活動中の悩み
相談者:
新規開拓営業 / 35歳 / 男性
前職の先輩から受けた嫌がらせが原因で、
人間不信から逃れられません。
悩み:
現在無職で、就職活動をしています。
前職は新規開拓営業で、半年間勤務しました。
その会社は人生初めての営業職でしたが、以前勤めていた会社(営業所閉鎖のため退職)と業界が一緒だったので、面接時に現場での実績を評価され、新規開拓営業の職に就きました。
当初は「新人ながら勢いのいい営業」と上司に評価されるほど、新規獲得件数も伸ばし、顧客として大手メーカーなども獲得しました。それによって、自分の評価はますます高まったと思っていました。
しかし、その頃から、同じ部署の先輩から嫌がらせをたびたび受けるようになりました。「自分だけに会議の日どりを前日に連絡する」など、悪質な嫌がらせです。上司に相談したのですが、上司は相談にのってくれるどころか、いつの間にか退職の方に自分を誘導し始め、結局、そんな会社や人間関係が嫌になり退職しました。
それから約半月、数社から内定を頂きましたが、人間不信がつきまとうために踏ん切りがつかず、辞退しています。
半年で前職を辞めた理由も、面接では家庭の事情と偽っていますが、やはり印象が悪く、面接官の方は不信感を抱くようです。
自分自身の心の問題であることは分かっているのですが、先輩から受けたいじめのような嫌がらせがトラウマになってしまい、決断ができません。それなのに、就職への気持ちは焦る一方です。こんな私にアドバイスお願いします。
社会人3年生からのお仕事クリニック
タイトル「トラウマは思考停止用語」
● 有能であるがゆえの悩みか
新規開拓にも成功したり、数社からの内定をいただいたり、ということからあなたの有能さぶりがみえてきます。成果主義を標榜している会社なら、こんな有能な社員一人を失うことがどれほどの損害かがわかるはずですが、不思議ですね。
仕事以外の原因があなたの有能さの足をひっぱっている現実になんともやりきれないものと感じてしまいます。「過去は忘れて、前向きでがんばって」と忠告して終わりにしたいところですが、そうもいきませんので、2つほど、あなたの現状を打開する手助けになるようなことを述べてみたいと思います。
● 突然のいやがらせの原因は?
先輩のいやがらせの原因はなんだと思われますか。
有能なあなたへのねたみですか。それとも、あなたの有能さが、その先輩にとって何か不都合があったのでしょうか。さらに、もうひとつ不思議なのは、なぜ、上司は業績をあげているあなたからの訴えを取り上げなかったのでしょうか。
時間がたちましたので、こうしたことを冷静に分析できる時期ではないかと思います。自分、先輩、上司について、時系列的にどうしてこういうことになってしまったのかを分析してみてはいかがでしょうか。頭の中だけであれこれやっていると、堂々巡りになりますので、紙に書き出すか、友人かカウンセラーに話を聞いてもらうようにでもすれば効果的です。
● 自分自身の心の問題ではないかも
最近、心理学が世の中に普及してきました。あなたの言うトラウマ(精神的外傷)のような心理学用語も、そのまま一般に通用するようになってきました。それはそれで結構なのですが、一つ、気をつけなくてはいけないのは、トラウマという用語で、あなたの心の問題すべてに片を付けてしまうことです。それ以外のことを考えなくなってしまうことです。思考停止ですね。
対人関係は、なかなか難しいものがあります。誰もがいつかどこかで失敗するのが常です。しかし、その失敗から、対人スキルを学んできたのです。ですから、その失敗の原因は何か、それを解決するにはどうすればよかったのかを、あれこれと考えてみることはとても有効です。トラウマという用語だけで片をつけてしまうと、見えるものも見えなくなってしまうことがあります。
新しい職場には新しい対人関係が待っています。そこで同じことが起こるかもしれませんし、起こらないかもしれません。それは誰にも予測はできません。飛び込んでみるしかありません。
同じ事が何度も続いて起こるようなら、あなたの対人関係スキルに問題があるのかもしれません。試してみる気持ちで、ぜひ、再度の面接に挑戦してみてください。