スキーマ理論(schema theory>
人は新しい事柄を覚えようとする時に、自分の持つ知識の塊に関連づけて覚えます。この知識の塊がスキーマと呼ばれるものです。スキーマはそれぞれの人によって異なるので、同じ事柄や同じ話を聞いても、それについての理解の内容や、記憶の内容も人によって異なるのです。たとえば、巨人ファンの人は巨人のニュースをよく覚えているけれど、そうでない人はほとんど覚えていないといったことがよくあるはずです。スキーマの特徴をもとに、スキーマを情報処理のシステムとしてコンピューター上に表すという試みもなされています。例えば、レストランで食事をするということにかかわる知識を、客がレストランに入る、客がテーブルを探す、客がどこに座るかを決める、客がテーブルのところまで行く、客が座る、という具合にいくつかの場面ごとに、スキーマとしてコンピューターのプログラムに組み込みます。するとそのプログラムは、レストランで食事をするという出来事についての文を適切に細かくし、その要点をまとめることができるようになるのです。ここで、このようなプログラムは、大変すぐれたものだと思われるのですが、先にも述べた、人によってスキーマに違いがあるということが十分に考え合わせられていないという 問題点もあるのです。(MM)
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スキーマとは、私たち一人ひとりが独自に持っているイメージの塊のことです。人は新しい情報を自分の持つこのスキーマに照らし合わせて整理して覚えます。例えば、初めて食べたパンナコッタに対し、「プリンみたいな味がするなぁ」と思うことは、パンナコッタを自らの持つプリンというスキーマで捉えて整理していることになります。ある情報に対して強いスキーマを持っているほど、その情報を簡単に記憶から再生できます。プリンの好きな人ほど、そうでない人よりもおいしいお店の場所をたくさん覚えていられるわけです。人が持つスキーマはそれぞれ違うので、プリンを「冷奴みたいだ」なんて豆腐というスキーマで捉える人もいるかもしれません。すなわち行動や思考の個人差は、スキーマによって説明することもできるのです。しかし、あまりにも一般的なスキーマは、時として私たちの認識をも狂わせることを忘れてはいけません。イタリア人がみんな軟派なわけではないし、政治家がみんな腹黒いわけでは・・多分言い切れません。これは「ステレオタイプ」とも呼ばれる、偏見の一つです。(AG)