心の風景 認知的体験

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バイタル尺度ナウ

2019-10-13 | 癌闘病記

2019年
10月13日10時45分
5段階中


●主訴:右手自由度 3.8
あと2回で1クールおわり
劇的効果があった
 

●手足指の感覚鋭敏度 3・5
足裏がぞうりをはいたかのよう

●生きる(何かをする、したい)意欲度 4
疲れやすいので、ついついごろごろ


●食欲 4
投与後2日はあんまり食欲がない

ハイリスク・ハイリターン社会

2019-10-13 | 安全、安心、

ハイリスク・ハイリターン社会

           ———危険だが便利、便利だが危険
● リスク(risk )とは
 リスクとは、「生命の安全や健康、資産や環境に、危険や傷害など望ましくない事象を発生させる確率、ないし期待損失」である(日本リスク研究学会)。数学的な表現をするなら、リスクは、危険の発生確率と損失の大きさの積の期待値(平均値)として定義される。
20世紀の科学技術の進歩は、ハイリスク(high risk)・ハイリターン(high return)社会を作り出し、多彩なリスクを受容しながら多大の便益を享受する社会構造を作り出した。これは、今後も止まることのない強力な社会的力として地球規模で展開されていくであろう。***注1

●ハイリスク・ハイリターン社会
駅まで徒歩で行くより、車で送ってもらったほうが、ずっと楽で時間も有効に使える。しかし、車のほうがはるかに事故を起こしてしまう可能性が高くなる。これが、身近でのハイリスク・ハイリターンの実践である。
しかし、よくよく考えると、徒歩と車では、どちらがハイリスクかは一概には言えない。犯罪の多いところ、あるいは歩道の整備されていないところでは、徒歩のほうが、はるかにハイリスクになることもある。
この例からもわかるように、ハイリスク・ハイリターンと言っても、リスクの多彩さとリターンの内容の多彩さにまで立ち入ってみると、そして、ハイリスク・ハイリターン社会を支えている社会的な基盤や考え方にまで思いをはせてみると、それほど事は単純ではないことがうかがえる。
やや話が散漫になるが、図のような3つのケースについて考えてみることで、このあたりについての認識を深めてみることにする。注1****

●ハイリスク・ローリターン
こんな事をめざすことは普通はあまりないのだが、ところがよくよく考えると結構ある。なんのリターンも期待できないのに、というよりむしろ莫大な損失が予想されるのに、信念や心情、憎しみや競争心などに駆られて負けるかも知れないリスクの高い争いや冒険をするようなケースである。
社会も人も利害得失だけでは動かないがゆえに起こるケースである。

●ローリスク・ハイリターン
ここに属するケースの典型は、臆病者のギャンブルであろう。一攫千金を夢みはするが、かといって、大金を投資して一文無しになるリスクは避ける。こうしたややずるがしこい心性は、誰の心にも潜在している。
またハイリスク・ハイリターン社会では、ハイリターンのままリスクだけは低下させる努力をすることがおこなわれる。これをリスク補償と呼ぶ。安全対策やリスク管理**注2**がその最たるものである。安全対策やリスク管理が必要な機械やシステムは使わないという選択をすると社会の効率が落ちてしまうので、リスク低下だけを限定的におこなおうというものである。
安全、安心が今日本社会のキーワードの如くなっているのは、それほどハイリスク・ハイリターン社会になってきていることの証とも言える。

●ローリスク・ローリターン
ハイリスク・ハイリターン社会の典型を狩猟採取社会とすれば、ローリスク・ローリターン社会は農耕社会になるであろう。この対立軸は比較的あちこちにある。たとえば、原子力発電に対して太陽光発電、グローバリゼーションに対してローカリゼーション、ハイテクに対してローテクなどなど。
この対立軸を外側から支援しているのが、今の日本では、コスト、環境、人権の三大テーマである。つまり、そんなにコストがかかるなら核融合発電は考え直そうとか、環境に悪いからローテクでいこうとか、人権を侵害しそうだからIT化はやめておこうということになる。

4つの象限に分けて思いつくままに話をしてきたが、実は、この4象限は、アプリオリに決まっているものではないことに留意されたい。リスク認知は人によってまったく異なるからである。無謀運転をする若者にとって、車は、ローリスク・ハイリターンと認知されているであろうし、慎重運転を心がけている人にとっては、ハイリスク・ハイリターンと認知されているであろう。

●人はリスクとリターンのみにて生きるにあらず
人も社会も複雑である。ある単一の観点だけに従って生きているわけにはいかない。リスク対リターンの観点も、今の日本社会ではかなりメジャーな観点ではあるが、そんなこととは無縁な観点に従って生きている人も社会もたくさん存在する。
安全、安心を取り上げている本書では、リスク対リターンは中核となる観点であるが、局所最適化の罠に落ちないためには、それを越えた、あるいはそこからはずれた観点にも思いをはせてみることもあってよい。
(k)

注1 最近は、これに「環境」が加わってきて、社会進歩への展望が複雑になってきた。

注2 リスクとリターンを組み合わせた4つのケース
     ハイリスク

ローリターン     ハイリターン

     ローリスク

注2 職場でリスの管理をすることをリスクマネージメント、その仕事を担当する人をリスクマネージャーと呼ぶ。想定されるリスクを洗い出し、その重要度を査定して、リスクが顕在化しないような手立てを考えたり、ヒヤリハット体験や事故報告を分析して事故防止策を立案して公表することで、エラー、事故を減らそうとするものである。