選択的注意(selective attention>
私たちは普段すべてのことがらについて注意を向けているわけではありません。例えば、授業中に教官の話に注意を向けていると、他の物音には気づきません。しかし、実際にはさまざまな音が存在していて、「聞こえている」はずです。それにも関わらず、私たちは「聞いていない」のです。このような特定の情報のみが選択される現象は、カクテルパティー現象として知られていますが(Cherry 1953)、このことは、私たちが必要な情報のみに注意を向け、不必要な情報を排除できることを示しています。このことを選択的注意といいます。
また、注意は情報選択という観点とは別の側面から考えることもできます。自動車を運転することに慣れている人は、車の運転をしながら助手席の友人と話をすることができます。しかし、初めて車を運転する場合には、その操作に注意を振り向ける必要があるために、そうはいきません。これらのことは、注意の振り向け方によって複数の情報処理を同時に行うことができたり、できなかったりすることを示しています。このような問題は、注意の分割(divided attention)という観点から研究が進められてきました。(SC)
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皆さんは何かをしている途中で突然大きな音がしたらそれに耳を向けたり、周りがうるさくても、自分と相手との会話は聞き取ったりすることができますよね。それは選択的注意というものが働いているからです。選択的注意とは、たくさんの情報が存在する中から特定の情報だけに意識を向ける、という注意の種類です。突然の音や動きに対して無意識に注意を向ける場合と、自分で意図的に注意を向ける場合とがあります。前者を不随意的な選択的注意、後者を随意的な選択的注意と呼びます。最初にあげた会話の例はカクテル・パーティー効果とも言われます。
1953年にチェリーという人が次のような実験をしました。右耳と左耳に違うメッセージを聞かせ、片方の耳のメッセージに集中しその内容を声に出し、もう片方の耳のメッセージは無視します。無視しているほうのメッセージを男声から女声にしたり、英語からドイツ語に変化したりします。その無視したメッセージの内容をどれだけ理解しているか、変化にどれだけ気づいたか、などで選択的注意を研究しました。(NY)
選択的注意とは、簡単に言ってしまうと""自分の周囲にさまざまな情報がある中で、いくつかの特定の情報のみを意識すること。""である。注意には範囲があり、多くの刺激を瞬間的に見せられた時に知覚できる数は7~8個となっている。情報処理容量には限界があるため、注意の範囲が広くなればそこでの情報分析能力は粗く、注意の範囲が狭くなれば詳細な情報分析がなされる、と考えられる。多くの情報がある中で人間は、無意識のうちに情報を取捨選択している。これを選択的注意と呼ぶ。
例えば、東京駅などかなり多くのホームを持つ駅では、アナウンスに男性と女性の声を起用している。これは選択的注意が持つ特性を多いに活かしたことである。男性と女性は声の質やトーン音程が異なり、注意を向けやすいのである。
そこで東京駅では、ホームごとに女性、男性、女性、男性・・・と交互に起用し、聞き取りやすさを追及しているのである。(AG)