法則1 集中力は心のエネルギーの爆発である。
何やら冒頭から、岡本太郎風のセリフになってしまい、おおよそ科学的らしからぬことになってしまったが、注意集中力の問題には、科学だけではいかんともしがたい部分があることも、あらかじめ心にとめておいてほしい。
さて、機会でも、人間でも、およそ動くものは何でも、エネルギーが必要である。自動車にはガソリン、帆船には風、水車には水、そして人間の心には注意集中、という次第である。
エネルギーをたくさん使えば速く強力に動くことができる。速く強力に動き回るためにエネルギーをたくさん注ぎ込みたいのだが、使えるエネルギーには限界がある。そこで、できるだけ少ないエネルギー消費で最大の効率を、ということになる。
この効率を上げるにはどうすればよいかをいくつかあげてみよう。
まずは、エネルギーを限られたことだけに使うことである。同じエネルギーの量なら二つのことに使うより、一つのことにそのすべてを使えば、倍の力が出ることは小学生でもわかる簡単な算術である。10個の英単語を覚えるよりも、5個の英単語を覚えるほうがよく覚えられる。
次は、自動車で言えばエネルギーの交換効率、燃費を上げることである。わずかな集中力で、たくさんの事が覚えられたり、楽に問題が解ければありがたい。
このように、集中力コントロールには、注意エネルギーの配分コントロールと、交換効率コントロールの二つがある。いずれも、意識的にできるときと、できないときとがある。
もちろん、エネルギーの量にも、人によって豊富な人と少ない人がいることは言うまでもない。それは、どうにもならないことのようでもあるし、がんばれば多少のエネルギーを入れる器を大きくすることは可能である。しかし、それにも限界がある。その限界の中で、じょうずに集中力をコントロールしていく技術の数々を本書で紹介してきたつもりである。
続く