「選挙」今日の論考
●選挙に行かなくなった
18歳学生を預かる教員という立場から、あまりおおっぴらにはできないのだが、ここ5年くらい、すべての選挙での投票の棄権をしている。理由はきちんとしている。年寄が日本の政治の主導権を握るような状況はよくないとの思いからである。
同じ思いをブログに綴る人も多い。たとえば、
○「シルバー民主主義」という上品な名前で呼びますが、露骨にいえば投票者の過半数が60歳以上になった時代には、老人に迎合しないと選挙に勝てないという民主主義の現実
(池田信夫ブログ))
○たとえば平均年齢を80歳とすれば、20歳なら残り60年を生きていかねばならない。しかし、70歳であるなら、残りは10年となります。この2人が将来の政策などが問われる選挙で同じ1票というのは、むしろ悪平等ではないでしょうか。(笠木恵司ブログより)
こうした意見へのささやかな賛同からの投票の確信的な棄権である。
有権者の世代別割合は、20歳以上80歳以下ではすべての世代にわたり10%台でそれほどの差はないのですが、世代別の投票率となると、どの選挙でも投票率は世代があがるにつれて高くなり、おおむね 20歳代の投票率は30%台で最低、もっとも高いのは、60~70歳代でほぼ70%台となる。したがって、票数になると、有権者数x投票率になるので、圧倒的に高齢者が決定的な影響を与えることになる。
ちなみに、EU離脱と残留の国民投票では、残留を支持する割合の高い若者層の投票率が、離脱を支持する割合の高い高齢者層のそれの半分だったことが決め手になったとの推測がなされている。
こうした世代間格差を少しでも補正すべく、日本では、平成28年度の選挙から18歳以上の選挙権が行使できるようになったのだ。
まさに、わが意を得たりである。これで少しは、若い世代にも配慮した政治を期待できかもしれない。なにせ、選挙に勝つためには、人気とり政策(ポピュラリズム)がどんどん実行される政治の現実があるのだから。
●若者はなぜ選挙にいかない?
それにしても、若者の投票率――といってもこれまでは20歳以上30歳台だがーーは、なぜこれほど低いのであろうか。
いくつかあげられるが、表層的には、ともかく貴重な日曜日を「無駄にしたくない」「せっかくの日曜の楽しみを奪われたくない」といったことがあるかと思うが、もっと根源的には、自らの未来は自らが築く、あるいは築けるとの思いの強さではないだろうか。客観的に見れば、かなりひどい状況であっても、そこから自力で抜け出ることができる、あるいは抜け出なければとの思いの強さではないだろうか。
政治も含めて、他に頼らない自律心といってもよい。老人のメンタリティの対局にある心である。
したがって、自らにかかわる特定の政治問題以外には声をあげない、したがって、投票にもいかないということになる。
しかし、これも程度問題である。日本のように社会が成熟し、あらゆるところに政治的影響が及び、さまざまな制度化がなされるようになってくると、若者の自律心に基づいた努力だけでは、どうにもならなくなる。とりわけ、今の若者の老後にまで目をむければ。
制度化されたなかで少しでも声をあげて、制度を自分(の将来)向きに変えていかなければならない。
●選挙に行かなくなった
18歳学生を預かる教員という立場から、あまりおおっぴらにはできないのだが、ここ5年くらい、すべての選挙での投票の棄権をしている。理由はきちんとしている。年寄が日本の政治の主導権を握るような状況はよくないとの思いからである。
同じ思いをブログに綴る人も多い。たとえば、
○「シルバー民主主義」という上品な名前で呼びますが、露骨にいえば投票者の過半数が60歳以上になった時代には、老人に迎合しないと選挙に勝てないという民主主義の現実
(池田信夫ブログ))
○たとえば平均年齢を80歳とすれば、20歳なら残り60年を生きていかねばならない。しかし、70歳であるなら、残りは10年となります。この2人が将来の政策などが問われる選挙で同じ1票というのは、むしろ悪平等ではないでしょうか。(笠木恵司ブログより)
こうした意見へのささやかな賛同からの投票の確信的な棄権である。
有権者の世代別割合は、20歳以上80歳以下ではすべての世代にわたり10%台でそれほどの差はないのですが、世代別の投票率となると、どの選挙でも投票率は世代があがるにつれて高くなり、おおむね 20歳代の投票率は30%台で最低、もっとも高いのは、60~70歳代でほぼ70%台となる。したがって、票数になると、有権者数x投票率になるので、圧倒的に高齢者が決定的な影響を与えることになる。
ちなみに、EU離脱と残留の国民投票では、残留を支持する割合の高い若者層の投票率が、離脱を支持する割合の高い高齢者層のそれの半分だったことが決め手になったとの推測がなされている。
こうした世代間格差を少しでも補正すべく、日本では、平成28年度の選挙から18歳以上の選挙権が行使できるようになったのだ。
まさに、わが意を得たりである。これで少しは、若い世代にも配慮した政治を期待できかもしれない。なにせ、選挙に勝つためには、人気とり政策(ポピュラリズム)がどんどん実行される政治の現実があるのだから。
●若者はなぜ選挙にいかない?
それにしても、若者の投票率――といってもこれまでは20歳以上30歳台だがーーは、なぜこれほど低いのであろうか。
いくつかあげられるが、表層的には、ともかく貴重な日曜日を「無駄にしたくない」「せっかくの日曜の楽しみを奪われたくない」といったことがあるかと思うが、もっと根源的には、自らの未来は自らが築く、あるいは築けるとの思いの強さではないだろうか。客観的に見れば、かなりひどい状況であっても、そこから自力で抜け出ることができる、あるいは抜け出なければとの思いの強さではないだろうか。
政治も含めて、他に頼らない自律心といってもよい。老人のメンタリティの対局にある心である。
したがって、自らにかかわる特定の政治問題以外には声をあげない、したがって、投票にもいかないということになる。
しかし、これも程度問題である。日本のように社会が成熟し、あらゆるところに政治的影響が及び、さまざまな制度化がなされるようになってくると、若者の自律心に基づいた努力だけでは、どうにもならなくなる。とりわけ、今の若者の老後にまで目をむければ。
制度化されたなかで少しでも声をあげて、制度を自分(の将来)向きに変えていかなければならない。