天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」@13作目

2020年06月15日 | 映画感想
「ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語」

ようやく映画館で新作が公開されるようになりました。という訳で早速鑑賞。

あらすじ
しっかり者の長女メグ(エマ・ワトソン)、アクティブな次女ジョー(シアーシャ・ローナン)、ピアニストの三女ベス(エリザ・スカンレン)、人懐っこくて頑固な四女エイミー(フローレンス・ピュー)、愛情に満ちた母親(ローラ・ダーン)らマーチ一家の中で、ジョーは女性というだけで仕事や人生を自由に選べないことに疑問を抱く。
ジョーは幼なじみのローリー(ティモシー・シャラメ)からの求婚を断って、作家を目指す。(Yahoo!Movieから丸パク)

「若草物語」は女子ならかなりの確率で子供時代に読んだであろう少女向け児童文学の金字塔と言える一作でしょう。
かつての日本女児ならば9割以上が本作と「赤毛のアン」の2作品あるいはどちらか片方を読んだ事があるのではないでしょうか?
勿論自分も「若草物語」も「赤毛のアン」も両方小学生の頃に読んでいます…とは言うモノの、読んだのは確か小学2年か3年の頃で…正直細かいディティール忘れてますw
4姉妹の物語だった事やスケートでエイミーが池に落ちたりジョーが自分の髪を売るエピソード等断片的には覚えているものの、4姉妹の名前だって次女のジョーと四女のエイミーの名前こそスッと思い出せたモノの「残りの2人ってなんて名前だったっけ…」レベル^^;

で、本作はいわゆる自分が子供の頃に読んだ「若草物語」のエピソードは回想シーンとして登場し、映画の舞台的には若草物語から7年後という設定になっています。
それで現在と7年前の出来事を行きつ戻りつしながら見せていく、しかも過去のシーンも現在と同じ役者が演じているので最初の内は「え?コレどっちや?」と少し混乱します。
まあその内見慣れて来て直ぐに現在の様子なのか過去の回想シーンなのか見分け付くようになりますから心配しなくてもダイジョーブw
という訳で、本作は「ジョー=ルイザ・メイ・オルコット(←若草物語の作者)」で、ジョーが「若草物語」を出版させるまでを自分の少女時代の頃を回想しながら見せていく、という体のお話です。

若草物語が何度も何度も映画化されたりアニメ化されて愛され続けているのにはいくつか理由があると思うのですが、特に本作が取り上げているテーマや背景が過去から今現在でも何かしら当てはまる、現代の人にとっても共感を得られる内容だから、というのが大きいと思います。
元々「若草物語」はアメリカ南北戦争時代が舞台になっていて、4姉妹の父親が従軍牧師として戦線に赴任している事で男手のない家庭の中で起こった出来事を描いているんだけど、当然だけど人種差別問題、それから貧富の格差、女性の社会進出と社会的地位の確保の難しさ、恋愛観、結婚観、等々様々な問題が物語中に散りばめられていて、それがこの物語が描かれた150年前と今現在で大して変わっていないというのが改めて驚かされると言うか何と言うか。

まあ、それでも当時と違い今は当然ですが女性にも参政権はありますし、女性が結婚しないで仕事にまい進するのもそれほど不思議ではなくなってきましたが、劇中であんなに鼻息荒く「私は一生結婚なんてしないのっ!」と言い張っていたジョーがある件をきっかけに「誰かに愛されたいの」「どうにも寂しいの」と母親に泣きすがるシーンには何かしら思うところがあるのではないのでしょうか>ハイミスの皆様^^;
そんでもってその後の展開の滑稽なのもね…人間、人恋しいだけでトチ狂って結婚しちゃうとやっぱ上手く行かなくて離婚しちゃうんだろーなー。
という訳で、ローリーから「僕達が結婚したら、殺し合いみたいになっちゃうだろ」と言われてしまうあのシーンがなかなか良かったですよw

ジョーを演じたシアーシャ・ローナンを自分はよく存じ上げない…つーか、この4姉妹の中で知ってるの長女のメグを演じたエマ・ワトソンだけだわ(滝汗)
ですが、エマ嬢の美しさも霞む溌溂として勝気で美しいジョーを演じていましたね。それから末っ子エイミーを演じたフローレンス・ピューもいいキャラしてた。
それよりさ、お隣さんの富豪の青年ローリーを演じてたティモシー・シャラメ、彼今軽くバズってるらしいけど原作のローリーもこんなチャラかったっけ!?
あんまりお隣さんの青年の記憶がない…優しく4姉妹をサポートしてくれてジョーに密かに思いを寄せる好青年、位の印象しかないんだけど。

「物語は女がラストで結婚するか、はたまた死なないと売れない」という編集長、そして「金持ちと結婚出来なきゃ女は人生負け組」呼ばわりの大叔母等、ステレオタイプの代表格みたいな老害が本作でも登場しますが、これもまた今現在にも通ずる部分が無きにしも非ず。
若草物語は編集長の意見に従ってジョーは最終的に幸せな結婚をするようですが、原作者のオルコット女史は生涯独身を通したそうです。フェミニストの第一人者っすね。
コメント
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