南北戦争末期の1864年。南軍兵士としてバージニア州の戦場に送られたインマンは、ゲリラ戦に出撃を命じられた結果、瀕死の重傷を負って病院に収容される。回復を待つあいだ、彼の脳裏に浮かぶのは、3年前に離れた故郷コールドマウンテンの懐かしい情景。そして、出征前にたった一度だけ口づけをかわした恋人エイダの面影だった。
戦場から女のために脱走する男(ジュード・ロウ)、想い出を胸に待つ女(ニコール・キッドマン)、哀しい生い立ちをはねかえす、土に生きる友人(演りすぎレニー・ゼルウィガー)……もうどこをとっても堂々たるメロドラマ。21世紀の「風と共に去りぬ」の名に恥じない風格。背景も南北戦争だしね。「イングリッシュ・ペイシェント」でクリスティン・スコット=トーマスのヘアーを露出させた監督ミンゲラは、今回もR-15指定に見合った濡れ場を用意していて、おまけに戦闘シーンも息苦しいぐらいリアル。さすが大監督。問題は、こんな過激な描写でラッピングしながらも、中心となるストーリーは「たった一度のキスの想い出を糧に生きてゆく男と女」こんな大嘘を観客に納得させられるか。しかしこれがなんと成功してました。アクロバットがきれいに決まったのは、とにかく主演の二人が“ひたすら美男美女”だからだろう。
特にジュード・ロウ。髭を生やそうが泣き言をたれようがメチャメチャにいい男である。完璧な美男。このロウもキッドマンにしても、私生活では近頃ごたついているけれど、スクリーンの上ではちゃんとウブな二人に見えるところがおそろしい。え?ルックスがよければ何でも許されるのかって?当たり前じゃないですか。映画って、まさしくそんな媒体なんだから。
……さて、もう観たという人にここで問題です。脱走の途中、ロウは未亡人のナタリー・ポートマンの家に泊まるわけですが、二人で過ごした一夜でどれだけのことが行われたでしょう。やっちゃったに違いないというわたしに友人は「このゲス野郎!寝たわけないだろ!」と強硬に主張。しかし、この場合彼女と何事かがあった方が、味のある映画だと思うんだけどなあ……。