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さあおなじみウチの学校の事務だよりを。今月の給料には昇給発令書を入れているので、題して「昇給発令書を見ろ!」です。
今月の給料袋には、多くの人に「昇給発令書」なるものを同封しています。
「オレのには入ってないぞ。なんでだ!」
こう怒る人が出るのは容易に想像できるので今のうちに説明しておきましょう。今回発令書が入っていないのは
①期限付で雇用されている人
②もう昇給しない人
③理由があって今回は見送られた人
に大別できます。
①の期限付の場合、雇用替えがあるときに前歴を再計算して号給が決定するので、1月1日の昇給はありません。
③は、育児休業明けの場合などで、「復職時調整発令書」という形になっています。ちなみに、育児休業取得者の昇給における不利益は、現在まったくといっていいほどなくなりました。
問題は②です。なぜ、昇給しないのか。
むかしは年齢要件でした。定年が近くなると昇給するための期間が一年ではなくなるため「あれ?オレは今年一回も昇給してないぞ」ということになりました。ところが、現在は“職員の勤務成績に応じて昇給幅が決定される”という建前があるので、高齢になったからという理由で昇給停止はできません。
※でも年齢要件がまったくなくなったわけではありません。今年でいえば、昭和27年4月1日以前に生まれた人は昇給幅が抑制されたはず。該当者が単にいなかっただけです
それではなぜ?
答は「最高号給」というやつです。現在の教育職給料表(2)【小中学校に勤務する教育職員該当】には
2級(教諭、養護教諭) → 149号給
3級(教頭) → 93号給
4級(校長) → 37号給
までしか給料額が存在しません。だからここに達すると、もうそれ以上の昇給は望めなくなるわけ。前は『枠外』という失礼な呼び方で、ある程度は昇給していったのですが、もうそんなのどかな時代ではなくなったということです。
さて、言い訳がすんだところで昇給発令書。これにも、二種類あります。
○○号給を給する
という文言だけの人(主に若い人)もいれば、その下に
平成17年12月県条例第103号附則第○号の規定による給料○○○円を給する
という思いっきりなお役所ことばが入っている人(あまり若くない人)もいます。
これが意味するところは何かというと、
「ほんとはお前に給料はこんなにやるはずじゃないんだけど、仕方ないから○○○円サービスしてやる」です。
ほぼ二年前、わたしたちの給料はズドンと実は下げられていたのを思い返してください(年齢によって下げ幅は違います)。給料額は下がったんだけれども、マジで下げたら怒られちゃうから、平成18年3月の給料額までは払うことにしたのです。これがいわゆる『現給保障』。
つまり、この文言が入っている人の場合は、今回発令された給料額と二年前の給料との差はこれだけありますよ、と読み取ることもできるわけ。ですからこの額が0になった瞬間から、本当の意味での“昇給”が実感できることになります。まあ、現在の四十代後半あたりから上の人は、定年まで実感することはない計算なんですけど(T_T)。
※しかし現給保障だから発令に意味がないのか。実は退職手当(要するに退職金です)には確実に影響するのでご注意を。あの手当だけは、発令された給料額で計算されるのです。
まったく意味がないんなら、全員の履歴書にこの長い文を記入する事務職員はあまりに……