前作の特集はこちら。
冒頭に、蟻が出てくる。その蟻はある墓石を這いまわっているのだが、その墓の前でふたりの人物が交わす会話がこの長大な物語で最も重要なものだ。
「宇宙社会学の公理その一、生存は、文明の第一欲求である。その二、文明はたえず成長し拡張するが、宇宙における物質の総量は常に一定である」
「それと、もう一点。このふたつの公理から宇宙社会学の基本的な青写真を描くためには、あとふたつ、重要な概念がある。猜疑連鎖と、技術爆発」
そしてラストにも蟻が登場。みごとな構成。このオープニングとラストの間に、前作につづいてもんのすごい大ぼらが仕込んであり、呆然。
400年後に三体文明の船団が到来する。それまでに人類は迎撃する態勢を整えられるのか……
三体と人類の差は、三体は策謀が苦手という点。そのため、人類は四人の面壁者を選択し、その目的の善悪も可否も問わず、彼らのリクエストにすべて応えるという計画を立てる。
その4人それぞれのリクエストでまず笑わせ、彼らの真意でもっと驚かされる。
そして、このタイトルが意味するところが読者に提示された瞬間、みんなこう思ったろう。まいりました、と。すごい。
第3部につづく。