6年ぶりの短編集だとか。何度も言うようだけれど、わたしは村上春樹の本領は短編にあると考えているので、まずはうれしい。
長編にももちろんその
「自分に似せた主人公と作者が二重写しになる」
傾向はある(だからこのタイトルは意味深)。でも短編は、特にこの短編集においてはそれが顕著だ。むかし寝た女性の顔を思い出せない、ヤクルトスワローズを愛する、年長者との関係をあきらめている若くない存在。
とにかく文章が絶妙で、おかげでこの本の次に読み始めた某作家の小説をギブアップしてしまいました。酒田が出てくる「品川猿」の続編?も入っていて、これがかなり読ませます。