事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「一人称単数」 村上春樹著 文藝春秋

2020-12-22 | 本と雑誌

6年ぶりの短編集だとか。何度も言うようだけれど、わたしは村上春樹の本領は短編にあると考えているので、まずはうれしい。

長編にももちろんその

「自分に似せた主人公と作者が二重写しになる」

傾向はある(だからこのタイトルは意味深)。でも短編は、特にこの短編集においてはそれが顕著だ。むかし寝た女性の顔を思い出せない、ヤクルトスワローズを愛する、年長者との関係をあきらめている若くない存在。

とにかく文章が絶妙で、おかげでこの本の次に読み始めた某作家の小説をギブアップしてしまいました。酒田が出てくる「品川猿」の続編?も入っていて、これがかなり読ませます。

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モップの彼女

2020-12-22 | ミステリ

◇「天使はモップを持って」

◇「モップの精は深夜に現れる」

◇「モップの彼女は呪文を知っている」

◇「モップの精と二匹のアルマジロ」

◇「モップの精は旅に出る」

すべて実業之日本社文庫(文春文庫から出ているのもあります)。

ドクターM」のなかですばらしかったのが近藤史恵の「第二病棟の魔女」。

子ども嫌いの看護師が小児科に配属されてしまい、ガキどもに翻弄される。しかし彼らは深夜に第二病棟に現れる幽霊を恐れていて……夜勤で第二病棟に行った看護師は、清掃人に出会う。およそらしくないファッションに身を包んだ彼女は、清掃にいきがいを感じる若い女性だった。

これが、このシリーズのヒロインであるキリコちゃん。意外なことに彼女は謎を解くことも清掃と同じように得意だったのである。

近藤史恵は、自転車レースを題材にした「サクリファイス」や、ビストロ・パ・マルものなどシリーズが多いんだけど、キリコちゃんネタは知らなかった。で、読み始めたらやめられず、ほぼ完徹状態。甘いラブコメに見えて、仕込んである毒も強いので油断しないでね。

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