事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の名言2020年12月号PART5 順風逆風暴風

2020-12-26 | 国際・政治

Everything But The Girl - Time After Time

PART4「追悼林家こん平」はこちら

菅政権は「選択と集中」で無駄を排除する新自由主義的な性格が強いと見られている。感染症対策には医療資源の戦略的備蓄が必須ですが、それは感染症が広がっていない時には無駄に見えます。だから、新自由主義にはなじまない。

今回の感染症対策で政府は、いつまでに、どういう手段で、どんな数値目標を達成しようとしているのかを明示していません。すると、事後的に成否の判断ができない。

ただ『頑張った』という主観的な自己評価だけで『対策は成功した』と言い抜けて、検証を逃れるつもりでしょう

内田樹がインタビューに答えて。特に結びの部分は圧倒的に正しいと思う。どのような結果になろうとも、この政権が絶対に失敗と認めない体質なのはみんなひしひしと感じているはずだ。

前首相は無能なのはもちろんだけれど、有害な存在ですらあった。国家主義的な主張を空疎な美辞麗句でたれ流し、結局は何もできずに終わっている。まがりなりにも政権がもったのは、

「こんにちは、ガースーです」

という存在がいたからなのは間違いない。これまでが「安倍=菅政権」だったのだから、彼が首相になっても何も変わらない……少なくとも本人はそう思っていたはずだ。実際はおれが舵取りをしていたんだから、との気分が彼には確実にあったろう。

どちらがいいという話ではないが、彼にはやりたいことがないんだと思う。権力の座を守ることが自己目的化しているようにわたしには見える。

しかし時期が悪かった。コロナ禍のために政治への視線が今までになく冷たいところへ持ってきて、どうにもお仲間の質が悪いのが致命的。そして批判をあびている最中にあのガースー発言。就任直後だったら大うけだったろうに。

それにしても世間の風はきまぐれだ。順風も逆風も暴風なの。舵取り、むずかしいですよね。

本日の1曲はエブリシング・バット・ザ・ガールと言えばやっぱり(カバーだけど)これじゃん。「タイム・アフター・タイム」しみじみ。

PART6「友情」につづく

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「その裁きは死」 アンソニー・ホロヴィッツ著 創元推理文庫

2020-12-26 | ミステリ

今年もホロヴィッツかよっ!

カササギ殺人事件」「メインテーマは殺人」につづいてミステリランキング三連覇。今回は「メインテーマ~」につづいてホーソーンもの。

警察を退職し、コンサルタントのような仕事をしているくせ者ホーソーンの扱う事件を書くのがホロヴィッツ自身という、どう考えてもシャーロック・ホームズのパロディのようになっていて(なにしろコナン・ドイルが書いた名ゼリフがそのまま引用してある)、しかし堂々とした犯人当てミステリでもある。

これまで、ホームズ007のパスティーシュも書いている(遺族からの信頼が絶大なのだろう)ホロヴィッツだけれど、どこか薄味な感じがしませんでしたか。放送作家としてのサービス精神はさすがだけれど、もうひとつコクがあるとなあ……

今回は違いましたよ。魅力的な登場人物(それは無能で醜悪な刑事たちも含めて)が続々投入され、これまででいちばん興奮させられたかも。いやしかし、これだけの小説を連発し、ドラマの脚本も書き……どんだけ働き者なんだホロヴィッツ。

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