ホラーの書き手として高名な黒木あるじだけれど、わたしにとっては山形新聞連載の爆笑エッセイ「真夜中のたわごと」の人だ。
彼がひたすら山形新聞や文献をあさりまくって収集した異様なお話の数々なのだけれど、エッセイでも書いていたように、怖いとかオチがあるとか、そういう感じじゃないのが山形の怪談の特徴だと。
だからどうした、と言いたくなるほど理不尽。読んでみたら確かに(笑)。しかしユーモアに裏打ちされた筆致と、考え抜かれた構成で一気読み。
酒田では、最上川にかかる両羽橋にあらわれる女性の話が興味深かった。あそこはねえ、あの事件もあったしねえ……