日本は天災の多い国だ。地震、火災、噴火、豪雪、飢饉、氾濫……問題は、その天災をどう防ぎ、あるいは被害を最小化し、いかに復興するかにある。
たとえば東日本大震災。過去にこの作品で描かれたような三陸沖の津波があったにもかかわらず、人はまた海岸近くに居住を始める。しかしそれは人間が愚かなのではなく、そうせざるをえない事情があったというお話には説得力があった。易きに流れるのではなく、経済活動や人的交流の側面から、仕方なく元の土地へもどっていく人々。
このあたりの描き方はやはりさすが門井慶喜。
しかし、だからといって海岸近くに原子力発電所を設置するという営為の無謀さは、国民みんなが承知することにはなったわけだけれども。