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この書において、著者は昭和20年の夏からの十年間は、ほぼ美空ひばりの時代だったと総括している。
しかし彼女の人生は決して順調だったわけではない。のちに“一卵性親子”と称された母親の喜美枝をステージママとして、子どもだったひばりはのど自慢に挑戦する。圧倒的な歌唱力でみなを驚かせはしたものの、結果は不合格。
「子どもらしくない」と。
これは有名なエピソードで、以降もひばりは色物的な扱いを受ける。特に知識人たちからは嫌われた。けれども大衆は彼女に熱狂。そしてひばりの時代を象徴したのは、彼女と組んだ男はことごとくビッグになっていくこと。特に中村錦之助とはいろいろあったらしい。そのあたりはうまくぼやかして表現されています。その後の活躍、山口組三代目との関係などはご存じのとおり。
「平凡」では人気投票が年に一回行われていて、そのランキングは興味深い。意外だったのは、ランクインしたのはほとんど戦前からスターだった人なのだ。岡晴夫(「憧れのハワイ航路」)や小畑実(「高原の駅よさようなら」)の人気は、現在のアイドル像からはかけ離れているような気がします。
つまりは、敗戦によって日本の体制は変わり、GHQのコントロール下にあったオキュパイド・ジャパンとは言っても、日本人の心性はまだまだ変わっていなかったということだろうか。
しかし次の十年は違う。
ミュージシャンとしての自分に見切りをつけた渡辺晋が、芸能界に近代的な経営をとりいれようとナベプロを組織し、そしてテレビの時代がやってくるからだ。そのあたりは、いずれ続編が出た頃に。
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