第15回「足固めの儀式」はこちら。
前回で源頼朝(大泉洋)がどんだけ黒いかを描いたと思ったら、今回は弟の九郎義経の狂気を描いている。
義経が人間関係をうまく構築できないことはこれまでも菅田将暉がうまく演じてきた。しかし日本の歴史上、もっとも戦上手であることを今回は次から次へと実証している。それまで腹黒い戦略家とされていた梶原景時(中村獅童)が
「なんであいつだけが思いつくんだ」
と呆れるぐらい。それってミリタリーオタクなだけなんじゃないの?という三谷幸喜の揶揄も含めて。
筆で描かれた地勢図が何度も登場する。ああ、大河ドラマだなあ。もちろんCGを利用した勢力図もうれしいのだけれど。
後白河法皇(西田敏行)に嫌われて京を去る木曽義仲(青木崇高)。彼は義経の挑発に簡単に乗るような山猿ではなかったし、巴御前(秋元才加)が生き延びるために手を尽くしている。松尾芭蕉が、彼のそばに葬ってほしいと願い、そしてそれが実現しているのは知らなかった。
さて、それでも木曽義仲は源頼朝に結果として敗れた。それはなぜかということをこのドラマは冷厳に(ちょっと苦しいけれど)こう説明している。
「義などというものにこだわるなど、平氏と変わらん」
と後白河法皇につぶやかせる。
信頼すべきものを、だからこそ殺した頼朝と、なんで馬に乗って戦うことにこだわるんだと一蹴する義経。こういう人間たちが戦には勝つと。
しかし、最後の最後に生き残るのは、今回も困った顔ばかりしているお兄ちゃん(小栗旬)なのだった。彼は常に調整役を演じています。伝説に残る人と、実際に統治する人は違うんだなあ。
第17回「助命と宿命」につづく。
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