Bird York - In The Deep from the film Crash
映画も観ないで(時間に間に合わなかったからだけど)山形から帰って、首相の会見を見ることができた。
わたしはつくづく、皮肉ではなしにこの人は演説の達人だと思う。第一期は辞め方がひどかったこともあってボロクソに総括されているが、マスコミのあしらい方など、うまいものだった。選挙民が喜びそうなことをちりばめ、ソフトな語り口でわたしを信用してくださいとせまる。やっていることは壮絶に右翼的で、実はその演説の内容もよく考えれば空疎だが、しかし政治家の演説に内容を求めては……
舌足らずなのが残念だけれども、豊かで黒々とした髪と、穏やかな表情はやはり人気を下支えしている。配偶者がおてんばなのも実はポイント高い。
そんな彼が、みずから危地ともいえる会見の場で何を言うかにひたすら興味があった。だってそうじゃないですか。
・アベノミクスと称される(誰だ名前をつけたの)彼の(正確に言えば彼のブレーンが推奨する)経済政策が破綻寸前である数字が出たその日に
・各政党がほとんど消費税上げに反対している状況下
・増税するためならともかく、先送りすることと国会を解散することに整合性がまったくないことを指摘されながら
……それでも解散することをどう釈明するのだろう。
うなりましたね。
・(その内容はともかく)雇用が100万人増えましたとぶち上げ
・(どの企業かはともかく)業績がアップしていると主張し
・他に方法があるのかと開き直り
・“信を問う”と連呼することで大義などどうでもいいといなし……
さすがだ。くり返していうがこれは本当に皮肉ではなく、彼の演説はまことに達者だと思う。
問題は、なぜ解散が消費税だけで語られるのか、マスコミもそのことに簡単に荷担してしまうのはなぜかだ。
わたしはアベノミクスとやらに中味があるとは思っていないが、彼にもっと長く政権を担当させれば、教育や防衛問題などで、もっともっと(×10)極右な政策に走るであろうことをどこかが(皮肉でもいいから)報じてほしいのに。盛大につっこみどころを用意し、他の問題から目をそらさせるという意味でも、彼は演説の達人だ。ほんとうに、皮肉ではなしに。
本日の一曲が「CRASH」のサントラなのは、さすがに皮肉ですよ。
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