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お察しのように、障がい者を殺しまくるのはさとくんだ。こころ優しい彼は、入所者のために紙芝居を演じてみせる。そんなことをしているのでむしろ同僚からハブられる。でも彼の紙芝居は「花咲か爺さん」だ。彼はこう問いかける。
「いじわる爺さんが見つけた“汚いもの”ってなんだろう?」
誰もが障がい者を汚いもので、見ないようにしているではないかと。この施設が森の中にあるのは、世間が障がい者を見ないようにしているためだと指摘する。
そして、彼らが“有益ではない”から抹殺するべきだと心のなかでジャンプし、鉈などの殺傷道具を心穏やかに準備する。目標は260人。そのために彼は身体を鍛える。
洋子(宮沢りえ)は、自分にもそんな障がい者を忌避する側面があったのではないかとおびえながら、しかし彼に反論する。生きることの意味を、障がいを持った子を失ったオダギリジョーと自分だから理解できると。
スーパーで、割引のシールが貼られている商品を買うシーンに代表されるように、この夫婦は経済的に苦しい。彼ら夫婦は、再生の過程を回転寿司で、しかも一番安いネタのタマゴで実感する。そしてそこではテレビで残虐な事件が起こっていることが報じられている。天国と地獄の共存。その境目はあやふやだ。
「政治家の人たちはちゃんとやってくれています」とさとくんに言わせるように、殺人者は一種の陰謀論にからめとられているようにも描いている。同性愛者には生産性がないとかました政治家がいたように。
しかしそこを突き抜けてこの映画はすばらしい。
施設の職員であることから、宮沢りえはノーメイクに近い形で演じている。妻と離れたのでいつものように一番前で観たわたしは、彼女の小じわまで観ることができる。そしてその上でなお、彼女の凄艶さを感じ取ることができた。
ああ、大女優になっていくんだな宮沢りえは。
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