事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「光秀の定理」垣根涼介著 角川文庫

2024-01-16 | 本と雑誌

ここに四つの茶碗があります。そのなかのひとつに石をいれて、どれに入っているかを当てる賭博が開陳されます。順序は以下の通り。

1 親が子に茶碗を選ばせる

2 石が入っていない二つの茶碗を除く

3 残った茶碗のうち、最初に選択した茶碗と、もうひとつの茶碗のどちらに石が入っているかを選ばせる

……まず、石が入っている茶碗を最初に当てる確率はもちろん1/4です。しかし二つになった時点で確率は1/2になるので、どちらを選んでも確率は1/2に跳ね上がる、と誰だって思います。ところが、長丁場になるとほぼ確実に親の方が勝つことになり、その勝率は7割を超える。それはなぜか。

……こんな魅力的な謎を中心にすえて、明智光秀の半生が描かれる。もちろんわたしたちは本能寺の変のことを知っているし、その後に光秀がどうなったかも知っている。だから明るいお話になりようがないはずなのに、読後感はとてもさわやか。読んでよかった。

「信長の原理」につづく


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