「国道にて」はこちら。
またしても宮野浦への通勤路は混み始めた。
エプソンの景気が回復基調なのかと考えれば悪くない話かもしれない。おかげで出羽大橋の上で過ごす時間が増えたのだけれど、どうにも気になることがひとつ。
対向車のみんなが、けっこうクルマの中でものを食べているのだ。パンとか、おむすびとか。これはラッシュのきつい出羽大橋だからこその光景かと思ったが、意識して見ると他の路上でもよく見かける。
その昔、今は「この1冊」の読者になっている事務職員が、出張の際にわたしのクルマの後ろについた。バックミラーで「あ。○○さんだ」と見ると彼女はおもむろにお菓子を頬ばりだすのだった。あとで会ったときに「なーにをクルマで食べてるんだよー」とつっこむと、「別にいいじゃないですかぁ!」とぶんむくれ。彼女の同期の事務職員も「大きなお世話よねー」ときつい反撃。
あれ?意外にクルマのなかでの飲食って普通のことなのかな。みんな自然に食べているんだろうか。
自分のことを考えてみる。うーんクルマの中で食べるのってあんまりおぼえがないなあ。あまりにお腹がすいたときにコンビニの駐車場でサンドイッチをパクつくぐらいだろうか。でも二日酔いのときなんかは自販でファンタグレープを買ってぐい飲みしている。二日酔いのたびにファンタを飲み続けた結果、逆にファンタを飲むと反射的に気持ちが悪くなったりもしております。あれも対向車から見ると不思議な光景なんだろう。
そんなわたしだから、別にクルマのなかで飲食することがいけないと言っているわけではない。
“どうしてクルマがこんなにリビング化してしまったのか”
と考えているわけ。遠距離通勤が恒常化し、人がクルマで過ごす時間は長くなりつつある。そりゃ、リビング化は必然かもしれない。
しかしそれ以上に、売れるクルマの主流がミニバンやSUVに移っている現状を考えると、ひょっとしてクルマにとって“走り”は重要なファクターではなくなりつつあるのかも。
目をぎらつかせ、不必要なまでにギアチェンジをくりかえし(わたしの友人にはいちいちニュートラの位置にギアを放ち、それからわざわざ入れなおすバカもいる)、ゼロヨンに命を賭ける……こんなドライバーは次第に消えゆく種族なのだろう。
車高の高いミニバンで、家族と談笑しながら燃費を気にしつつ環境にやさしい運転を心がける。これこそが現代の路上のルールだ。でもさあ、これってなんかさびしくない?
画像は、今の安全基準だとチューンナップなしでも車検を通りそうにないハチロク。みんなが箱根を攻めだしたら、それはそれで問題だけどね。
次回は「信号嫌い」