事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

ビートたけしのオールナイトニッポン傑作選 第3夜

2008-10-12 | 芸能ネタ

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たけし:いやあ、もう、最近すっかり女にもてるようになっちゃって、夢みたいな生活続いてるね俺も。しかし参っちゃった。三年前だったら考えられないぜ、ビートたけしなんて誰も知らないしね。外歩きゃ誰も声かけてくれない。まあ、三年前はたいていひっかける相手は焼き肉屋のネエちゃんとか、安田生命のおばさんとかね、しょうがない。いろんな互助会に入って嘘ついたり、霊友会入るって嘘ついて、いろいろ騙したりなんかして。

 今は違う。ぐっと変わって女子大生ね。女子高生、OL、伊勢丹、三越、そういうデパートガールまでが俺に注目したりなんかして、うれしくなっちゃう。なんだかよくわかんない。目の前が真っ暗になっちゃうね、前がふくらんじゃって。グングングンって上がってくるから、ポコチンねじ曲げてみたりなんかして。ま、んなことはいいか。

……1981年1月から1990年8月まで(フライデー事件の中断をはさんで)、“つなぎ”のはずだったビートたけしのオールナイトニッポンは、伝説と呼ばれるぐらいに巨大な存在になった。わたしは1982年4月に就職したから、その初期のうちに毎週木曜日に深夜3時までラジオにしがみつくような爛れた生活(笑)からは脱却したが、年少の読者のなかにはこの9年間どっぷりとたけしの速射砲のような毒舌に浸った人もいるだろう。その影響はいかばかりか。

 わたしは想像する。「日本のギャグの質を変えた」とまで評価されるこの番組がなかったら、はたしてどんな日本になっていただろうか。そしてはたして、たけしはどうなっていただろう。日本のコメディアンはギャグを生み出す生活に疲れ果て、次第にシリアスな性格俳優になっていくことを指向している。映画人としての現在のたけしを考えれば、あれだけの才能をもっているのだから確かに“いい俳優”にはなっていただろう。でも、常に死の匂いをプンプンさせる「世界のキタノ」監督はおそらく誕生していない(「その男、凶暴につき」を深作欣二が降板するという偶然も重なった)。

 たけしの代役を誰かが果たしたはず?そうだろうか。似たようなタイプだった島田紳助はあまりにもマジメすぎたし(皮肉ではなく、そう思っています)、タモリはマイペースでひたすら無色であろうとしただろう。明石家さんまにいたっては「もっとも突っこみ甲斐のある相手」の不在に頭をかかえたと思う。かろうじて、可能性があるとすれば松本人志だろうか。しかし彼は自らその場を放棄し続けているように見える。

 ビートたけしの偉大さは、連続するスキャンダルを抜きにしても「笑い」と視聴者を不安にさせるような「危うさ」の距離を思いきり縮めたことにあるのだと思う(そこが、笑福亭鶴光とは違っている)。だからこそ、彼のオールナイトニッポンは麻薬的に面白かったのだ。

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