「東電OL殺人事件」「誰が本を殺すのか」のときもそうだったんだけど、佐野のノンフィクションには「や、それはそうかもしれないけれど、それだけじゃないでしょ」という違和感がどうしても。
たとえば、東電の場合は被害者であり、渋谷で売春をしていた渡邊泰子への過剰な思い入れが息苦しく(佐野が主張するように父親との近親相姦が背景にあったのかは誰にもわからない)、良書が生きのびることが出来ない現状を糾弾する「誰が~」は、しかし悪書の存在をそれゆえに貶めすぎていたといえないか。
今回もそうだった。あんぽん、とは安本という孫の日本名のことだが、正義よりも、糞尿にまみれた朝鮮から、骨肉の争いの果てに経営者として名をなした父親の方への思い入れがまたしても強すぎ、正義の現在が、その血ゆえなのだと……これは結論を急ぎすぎだと思う。父親が展開した“無料商法”を正義が受け継いだとしても。
確かにソフトバンクという会社には一種のうさん臭さがあり、そんな人物が太陽光発電の普及を主張するあたりの唐突さに、何らかのライターとしての主張は必要なのかもしれない。でも、そこはわからないままでもよかったんじゃないか、というのがわたしの考え方。
中国、韓国の血が、だからこそ愛国的にならざるをえなかったとする孫の言明や佐野の推理には、しかしやはり「それだけじゃないでしょ」と。十代のうちに担任に向かって学習塾経営をもちかける姿勢は、確かに在日であることの悲しさを伝えはするが、同時に商売に対する怖いぐらいのアクティブさも感じさせるではないか。
韓国の地を何度も訪れ、係累たちにディープなインタビューを行う佐野の姿勢は、ノンフィクション作家としてそりゃあ正解でしょう。でも、この大きなミステリの佐野による解決篇は、孫正義という人間がふりまく偽の真相なのではないかと邪推までしてしまう。
山師ではあるけれどもそれだけじゃない。優秀な経営者ではあるけれどもそれだけじゃない。在日ではあるけれどもそれだけじゃない……それで、よかったんじゃないかなあ。
あんぽん 孫正義伝 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2012-01-10 |
その差額は電力会社が電気料金に上乗せする。
従って、太陽光発電をしていない人々が負担しなければならない。
その結果、普及すればするほど貧しい人々はますます貧しくなる。
その上、国や自治体が税金を使って太陽光発電設備の設置に補助金を出している。
太陽光発電をしない人々はその税負担もしなければならない。
このような、貧乏人にしわ寄せがいくような制度は速やかに廃止してもらいたい。
この制度はメガソーラーで一儲けしたいソフトバンクの孫正義社長が当時の菅直人首相と結託して制定したもの。