事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

麒麟がくる 第三十三回 比叡山に棲む魔物

2020-11-22 | 大河ドラマ

第三十二回 「反撃の二百挺」はこちら

公平を期すために先に言っておきます。知らなかったことがたくさんありました。

今回は比叡山延暦寺焼き討ち前のお話。織田信長の残虐性を象徴するエピソードだ。そこにいたるまでにどんな経緯があったか。

・その時点で織田は圧倒的に不利な立場にあった

・叡山の座主である覚恕(春風亭小朝)と正親町天皇(坂東玉三郎)は兄弟だった

……知らなかったです。

ここで大きな話と小さな話を結びつける池端俊策先生の脚本が機能する。延暦寺に立てこもった朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)は、こう結論づける。一向一揆との対峙に疲れ果てた彼は、宗教勢力と対立することがどれだけ無益かと。光秀はそれを聞いて(あるいは感服したふりをして)覚恕と会わせてくれと申し出る。

そして覚恕はあからさまに兄へのコンプレックスを吐露する。普通、得体の知れない、しかも敵の懐刀と認めた人間にここまで語らないとは思うけれども、このドラマのキモです。

「兄は美しい」

そうかこの設定のための玉三郎の起用だったのか。そりゃ、誰にも文句は言えない究極のキャスティングですよね。そして弟のコンプレックスのことを兄は承知しているというお話でした。

思えば池端俊策さんの「太平記」も相容れない兄弟の話だった。そしてたいがいの大河で、弟は排斥される存在。長子相続というのは、やはり日本人にぴったりの制度なのかなあ。そう考えないと天皇制というのは理解できないですしね。わたし次男なんですけど。

にしてもねえ、このドラマは長谷川博己が主演であることが絶対的前提ですよね。熱狂タイプの役者が主演だとこうはならないもんな。あ、思えば「太平記」の真田広之もそうだった。長男もつらいよなあ

第三十4回「焼き討ちの代償」につづく


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