失敗作、であることは歴然。
でも、この失敗は変態兄弟監督にとって確信犯だったのだろう。
シリーズの最大の魅力は、仮想現実のマトリックスの中でなら「とにかく何でもあり」であること。重力や痛みや恐怖から解放されたアクションの数々に観客は魅了され、そして爆笑してきた。しかし今回はアクチュアルな現実が舞台。どうもへたくそな戦争映画みたい。めんどくさいし、痛いし、怖い。そんな“リアル”のまっただ中で、主人公ネオはあんなことになってしまうし、トリニティにいたっては……
しかし徹底的にオタクなウォシャウスキー兄弟は、そんな批判を承知の上で小理屈を並べ立て、自分たちの世界観の完結を優先させた。観客?ほっとけ!というわけだ。まあ、オタクのやることだからなあ。
※小理屈その1……預言者役の婆さんがこの作品から変更になっていて、「最初から予定されていたことだ」なーんて製作サイドは発言。ほんとうに最初の婆さん役の女優が死んでしまったから、とは意地でも言わないのだった(笑)
※小理屈その2……エージェント・スミスだけが、最後まで「ミスター・アンダーソン!」とネオを呼び続ける。これは必然で、このあたりはすごく納得できる。
それでも見せ場が無いわけではなくて、特にラスト、宮崎駿の某作品を徹底的に引用しているのには笑ったし、「たったひとり“リアルな青空”を見ることができた人間がネオではなかった」あたり、ちょっと泣かせる。
初日に駆けつけたわたしが冷静ぶって解説するのもおこがましいが、公開後、ファンたちの間ですら評価は分かれ、日本では爆発的にヒットしているものの、全米では2作目の半分の入りだという。でも、いつか必ず出るであろうDVD大特典付BOXセットは、史上最高の売り上げになるだろう。なにしろみんなあのラストを納得したくて(あるシーンを見逃すと意味がわからなくなる)買いまくるだろうから。
それにしても、モーフィアスは最後まで役立たずだったなあ……
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