PART7はこちら。
辰弥だって好きでこの村にとどまっていたわけではなくて、亡くなった母親が子どものころに語っていた
「お前が生まれたところはね、竜の咢(あぎと)ってところよ」
という言葉が気にかかっていたから。自分の父親ははたして狂気の男なのか。
ここでいよいよ金田一耕助登場。渥美清である。
現代のお話だからという理屈もあるだろうが、はかま姿ではない金田一には批判集中。わたしも初見のときは違和感ありありだった。ところが、久しぶりに見直したらなかなかいいんですな。
得体のしれない私立探偵を渥美は飄々と演じていて好感が持てるし、怜悧な頭脳をもっていることもちゃんと表現できている。寅さんのときには封じられたクールな演技。渥美はこんな、ギラリとした脇役を切望していたらしいので満足だったはず。
金田一の探偵としての行動は
・久弥の解剖を主張
・地元の小学校の校長から、辰弥の父親が多治見要蔵ではなく、むかし代用教員をやっていた若者であることをさっそく聞きこむ
……など、(この時点では)精力的。
次の殺人はもっとも本格ミステリらしい。
久弥の葬儀のあと、列席者にお膳が運ばれる。小竹と小梅が給仕を差配し、辰弥・春代・美也子も配膳を手伝う。ランダムに置かれた膳を彼らは運び、辰弥は小学校の校長の前に置く。そして料理を口にした校長は例によって絶命するのだ(第三の殺人)。
・はたして犯人はどの時点で毒をしこんだのか
・辰弥がその膳を選ぶことは計算されていたのか
・校長がその膳の料理を(以下同文)
いずれにしろ、辰弥の立場は最悪のものとなった。以下次号。
中野良子に関しては、ぜひ「君よ憤怒の河を渉れ」という
作品を観てね。
健さんと原田芳雄の間でじゃじゃ馬を演じてすげー魅力的でした。