PART3~鶴田浩二篇はこちら。
三國連太郎自身がもう何もこわくない話はつづく。
・三船敏郎
-(1950年『戦国野郎』で)三船敏郎と仕事をしたのはこれが初めてですね。どんな人でしたか。
三國:汚い人だと思いました。
-そうですか(笑)
三國:撮影用の衣装を着て通ってましたからね、彼は。
-ぶっきらぼうなんですか。
三國:ぶっきらぼうですね。それで夜になると渋谷に出て、あとで役者になったヤクザ者と喧嘩する。なんていう人でしたかね。
-安藤昇ですか。
三國:はい、安藤昇だったですかね。
……これはびっくり。三船敏郎が安藤昇と喧嘩したとは。世間は広いようで狭いなあ。
あ、良い子のみなさんは安藤昇を知らないか。この人はね、戦後の渋谷をブイブイ言わせていた愚連隊、というかやくざの組長。その安藤組が解散したあと、(なにしろ美男だから)役者に転向し、東映やくざ映画などで活躍。本人が本人を演じるのだから強い。
安藤組には高名なやくざ、花形敬がいて、あの名作「安藤組外伝/人斬り舎弟」で安藤と花形が描かれ、田舎の映画ファンもその事情にくわしくなったというわけ。この作品で花形を演じたのは菅原文太でした。
その安藤が現役バリバリのやくざだった時代に、(どんな経緯があったかは知らず)衝突するとはいい度胸だ。三船も安藤と同様に特攻隊に配属されていた過去があり、どこか刹那的な部分が共通するのかもしれない。
同じ年、三船が黒澤明と撮ったのが「羅生門」。それから三船敏郎と三國連太郎が共演したのは「戦国野郎」じゃなくて「戦国無頼」なのでそのあたりはよろしく。
次回はちょっとヘビー。市川崑&有馬稲子篇。
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