本日のお題シリーズ②
「大根2本」で町課長停職に
朝日新聞2001年11月14日 社会面より
「おめだべ、持ってったの」→「おれでね」思わず去る~秋田・阿仁の無人販売所
道ばたの野菜の無人売り場から秋田県阿仁町の農林課長(54)が料金不足のまま大根を持ち帰った。不足分200円を払うつもりで戻った売り場でとがめられ、慌てた課長は思わず立ち去ってしまった。後で届けたものの、うわさは山間の小さな町に、すぐに広まった。「万引きまがい」と浜田章町長。町は12日、課長会議でこの課長を停職40日(10日付)にした。
町によると、農林課長が大根を「買った」のは10月26日、無人売り場の1本100円の大根を、300円だけ料金箱に入れて5本持ち帰った。午後、千円札を崩して不足の200円を払おうと現場に足を運んだが、売り主の農家の主婦(60代)に見とがめられた。
「おめだべ、おれの大根持っていったのは」
「おれでね」
走り去った車のボディーに「阿仁町」の文字。ナンバーを控えられた。
課長はその後、改めて売り場に戻り、200円を支払ったが、「役場職員が大根を盗んだ」とのうわさは町を走った。
2日、農林課長が「申し訳ない」と浜田町長に辞職願を出した。町長は助役ら町幹部の意見を参考に処分を決めた。料金不足のまま大根を持っていった点と再訪したのに逃げ去った行為が「過失」とされた。
…………変でしょ?いろんな意味でこれ変だよなー。最初に読んだときからどうもふに落ちなかったが、再読したらますますわからなくなった。
1.まず“事件”自体がよくわからない。課長が不足分のお金を持ってきたのはいいとしても、ばあさんが何故いきなり大根をこの課長が「持っていった」と確信したのか。
2.町長が「万引きまがい」ときつい言葉を持ちだして糾弾しているのは町民向けのポーズだろうけれど、はたしてそれだけか?
3.停職40日、とは「量刑」としてむちゃくちゃ重すぎないか。
4.だいたいこの課長もいきなり辞職願かおい。「おれでね」とタンカをきって(笑)、公用車で走り去った根性はどこへやった。
5.第一このオヤジ、細かいのが300円しかないんなら、3本持ってきゃいいじゃないか(笑)。わざわざ戻って金入れに来るぐらいなら。どうもこの辺、事情があるような気もするんだよなあ。
6.いくら小さな町とはいえ、わずか一週間で「役場職員が大根を盗んだ」なんていう噂が「町を走る」はいくらなんでもオーバーだろう。
……別にこの課長を擁護するつもりはないのだ。私がむしろ問題にしたいのは朝日新聞の方なのである。過失に「」を付けているところをみると、この課長を本気で指弾したいわけでもないようだが、記事全体が粗雑なのは記者の力量の問題であるにしろ、このネタを全国版に載せるその心根(世間の嘲笑を誘おうとしているんだろう?)がどす黒くはないか。
しかも記事からは片田舎のほのぼの事件として高所から見下ろす尊大さが透けて見え、どうにも居心地が悪い。朝日らしいエリート臭がプンプンするのだ。それからもう一つ。山形版も顕著だけれど、心温まる町のネタ、を採りあげるのはいいけれど、まずは事件を追ったり調査報道をきちんとやった上でのことにしてくれないだろうか。んもーひたすら地方版ってつまらないからなー。
……実はこの町には町長派と反町長派に分かれた壮絶な反目が存在するらしく、この事件はその背景なしには語れないのだった。そちらはいずれ特集するかも。
画像は「ショコラ」
世の中で自分のことを一番エライと思っている民族はフランス人と中国人。これはまちがいのないところ。強力な農本主義と中華意識が、徹底して料理にこだわるその背景にあるだろうか。カトリック云々の問題は私が無宗教なのでよくわかりませんが。
で、その保守的で尊大なフランスの村に流れてきた母娘。ジュリエット・ビノシュ(「イングリッシュ・ペイシェント」「存在の耐えられない軽さ」)と「ポネット」のちび。二人がチョコレート屋を開いて村の保守性を僅かに覆していく、というお話。美食好きなくせに宗教的戒律のために断食なんかするフランス人がかわいい。魔女伝説やジプシーへの偏見もとりあげて、ただ甘いだけのおとぎ話にはなっていない。でも、ちょっとびっくりする程のハッピーエンドはどうだろう。組合帰りの中年男には胸焼けするほどの甘さだったが。
久しぶりに変なメイクをしていないジョニー・デップがジプシー役で。いやもうホントにかっこいい。ビノシュは妖艶。監督夫人(知らなかった)のレナ・オリンは「ナインス・ゲート」でもデップと組んでいたが、「存在の~」ではビノシュとも組んでいたのだった。石井ふく子=橋田壽賀子組みたいなもんだろうか。岡本信人かデップは。
暗ァい「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「ギルバート・グレイプ」のハルストレム監督作品ということで敬遠する向きもあろうと思いますが(私だ私)、考えてみりゃこの旦那「アバ・ザ・ムービー」で出てきた人だったのだ。妻が感動していた「サイダーハウス・ルール」も観なきゃ。
ギターを弾くデップは必見。かっこいいんだホント☆☆☆★★★
http://www.geocities.jp/tamacamat/index.html
ネットっていいですね。
http://www.geocities.jp/tamacamat/sonota17.html
いわゆる地方紙は『選挙情報には強いけど結果が出るまで報道しない』とかね。まあ朝日は先日も酒田の豪雨があったのに、違う地区のカラス駆除の方を優先して報じるとか、わけわかんない。エリート意識があるだけに、“報じてやってるんだ”って姿勢が隠せないんじゃないでしょうか。少なくとも地方版は、読売の圧勝です。