事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

標準世帯の行方 第四話

2008-01-10 | 情宣「さかた」裏版

Foreigner  クミアイ情宣シリーズ扶養篇最終回。
発行日は2002年11月12日でした。

……厚労省の報告書のシビアな部分とはこれ。
・パートの厚生年金適用拡大のため、現在年収130万円以上としている加入要件を65万円以上に引き下げる。
・正社員の労働時間の3/4以上としている加入基準を1/2以上にし、間口を広げる。

…となっている。1,150万人の第3号被保険者のうち、3割が何らかの形で働いているので、見直しが実現すればその約300万人が働き続けるかどうかの選択をせまられることになる……。

さてどうでしょう。私の妻はこの300万分の1なので、この記事にはかなり考え込んでしまいました。

サンプルとして私の妻を採りあげてみますか。
彼女は月収約40万円のサラリーマン(私)の配偶者であり、私立幼稚園の送迎バス添乗員として月額報酬7~8万円を得ている。もちろん公立学校共済組合の被扶養者の要件を充たしているし、制度開始以来(当時は専業主婦だった)、第3号被保険者に該当させてきた。

Kids それがこの見直しがそのまま実現すると仮定すると(普通は“落としどころを見つける”という官僚お得意の手法が使われるはずだが、今回多くのダミー案が同時に提起されているので先が読めない)、私の給料からは毎月4千円増しの掛金が徴収され、妻は私の扶養を外れ、自ら厚生年金保険料を負担することになる。まあ、勤務時間の関係でそう簡単にはいかないのだが。

ここで問題がひとつ。保険料は雇用側も折半して負担することになっているので、幼稚園側も応分の負担が求められることになるわけだ。どうやら少子化の時代でも妻の勤める幼稚園は繁盛しているようなので(笑)、そのぐらいの負担は軽いのかもしれないが、このご時世にそうもいかない職場はたーくさんあるはず。正規に雇用することをせず、パートの比率が上がっている現状には、企業側の保険料負担がきつい、という側面が確実にあるだろうから、この案の実現は朝日が予測するようにかなりの紆余曲折があるだろう。

だいたい国民に負担増を求めるには最悪のタイミングでこれが出てきたってことは、例によって本来ずーっと前からわかっていた年金財政の逼迫の問題を先送りしてきたツケが今まわってきたわけだ。まったく嫌になる。

ただ、それなりの給付増もあるだろうからウチにとってデメリットだけではないことだし、掛金を多く払えというならそりゃ払いもしよう。現行制度が不公平であることは確かだし。でも、社会保障の担い手をやみくもに増やそうとするその魂胆のなかに、あるどす黒いものがあるんだったら話は別だ。

少子化、高齢化、産業の空洞化……これら今日本が抱える問題を解決するために、どうしても避けて通れない課題がある。

外国人の問題だ。

グローバルスタンダードのかけ声だけは勇ましく響いているが、日本が引き続き先進国でいるためには(特殊な鎖国国家でいいというなら話は別)、外国人の流入は絶対条件であるはず。彼らにも等しく社会保障の担い手になってもらい、“国民”として応分の給付を行う方向に進む指針を示さないままに、お互い日本人だ、助け合っていきましょうや、と言うだけなら、こっちはへそ曲げちゃうぞ。これだけは、オレははっきりと言っておくからな厚労省。

※この連載は、標準世帯という概念が日本の高度成長を支えてきた側面は認めるものの、男性を企業戦士として会社にしばりつけて家庭から遠ざけ、女性をまるで“銃後の守り”のために家庭に押し込めた弊害が今噴出し、家庭をゆがんだものにしてしまったのではないか、もうこんな概念は低成長下、時代遅れもいいところなのでは?という動機で始めました。後段の外国人の問題など、反論も多数あることと思います。ご意見を書記局へお寄せ下さい。
 それにしても、これだけプライバシーをさらしたことを知ったら、さぞや妻は激怒するだろう。J幼稚園の関係者の方々、どうか妻には内密にお願いします。

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