第3回はこちら。
にしても、犯人が○○○○(人名にあらず)だったのは、いくら流行りだからといってあまりにひねりが無さ過ぎないだろうか。これは原作の責任でもあるだろうが、途中で犯人役の演技が異様にハイテンションになっていることに気づいたものだから、最後にもういっちょドンデン返しがあるものと買い被ってしまった。
それでも、青春ドラマとしては久々の会心作だし、セリフと間(ま)の可笑しさは一級品。たっぷり楽しませてもらったので文句は無い。ラストで本当に「傷だらけの天使」になったのも嬉しかったし(長瀬智也は警察を退職した渡辺謙にスカウトされ、探偵事務所の助手になることが暗示される)。
で、例の喉女優。この人です。
名は小雪。ついこの間まで、初の学校事務職員主役モノ「お前の諭吉が泣いている」に出演していたので事務職員には馴染み深いかもしれない。どちらのドラマでも愛人役なのが個性というものだろう。
「わたし、愛人顔だから。」は「王様のレストラン」(三谷幸喜)における鈴木京香の名セリフだが、二代目愛人女優として十分やっていけるキャラとみた。「別に喉太くないじゃないか」と思われるかもしれないが、白く伸びた喉に、うっすらとにじむ皺のあたりが何とも……あわわ、本性が出てしまう。三木聖子との共通点は、その喉から放たれる線の太い声だ。加虐的にすら聴こえる、その声。
去年買ったジョニ・ミッチェルのアルバムでは、三十数年ぶりに自作「青春の光と影」Both Sides Nowを彼女が歌いなおしている。ジャジーなアレンジが最高なのだが、一聴して歴然、キーが低くなっているのだ。女の人も声変わりするんだなぁ。小雪や三木聖子も、歳を重ねるごとに、その声に渋さをまとってゆくのだろうか。楽しみだ。
ん?三木聖子はとっくに四十代になっているんだから、もう声変わりしているのかも。「あの人は今」的な番組に彼女が出ていたら、ぜひ情報をお寄せ下さい。唯一不安なのは、荒井由美のセルフカバーの「まちぶせ」は、すっかり野太くなったユーミンの声だと、単なるストーカーの歌にしか聞こえないってことなんだが……。