伊丹十三篇からのつづき。
今回は丹波哲郎が語る芸能界相関図。
丹波:(滝沢修について)宇野重吉さんとライバルだったんだよな。新国劇の島田(正吾)と辰巳(柳太郎)のような関係じゃない。新国劇の二人は、結構仲いいように見えるんだね。でも、滝沢修と宇野重吉の場合は、明らかに仲悪いよね。外部から見た目では、役者としては滝沢修の方が上だったね。でも孤立してたね。ブレーンは宇野重吉の方がたくさんおったね。
……このあたりは、非常に納得できる話。滝沢の孤高はわかるなあ。
-鶴田浩二さんなんかは、相性が悪いとダメらしいですけどね。
丹波:鶴田は利口な奴でね。セリフ覚えが良いのを自慢にしているぐらいで、そんなセリフ変えられたぐらいでどうってことないと思うんだけどね。俺なんかは、初めっから台本を見ていないから、セリフいくら変えられたって同じことなんだ(笑)。俺は鶴田とも高倉(健)とも三國(連太郎)とも、誰とでもうまくいくんだよね。ところが鶴田、高倉はダメだね。それから三國、鶴田もダメ。三人三様ダメだね。あと宇野重吉と鶴田が、これまた仲が悪いんだ。全く口もきかない。
-その二人と丹波さんはNHKの大河ドラマ「黄金の日日」(78)で共演してらっしゃいましたね。
丹波:大広間の一番離れたところで、お互い背を向けて座ってやんの。で、俺が通訳。
……この相関図、よくよく考えるとみんなが鶴田浩二を嫌ってただけじゃないですか(笑)。しかし通訳をやっている丹波という絵ははまっている。この人の愛嬌は並ではない。
丹波:里見浩太朗と梅田コマ(劇場)に出てくれ、と言われたの。河内山宗俊だね。そのときにね、大チャンバラがあって、「あとは旦那、頼みますよ」と言われて、俺が何か言うんだ。そうすると客がワーッと笑うんだよ。何で笑うのか分からない。
-言い方がおかしかったんですか。
丹波:いや、俺がね「OK!」と言ったって言うんだ。時代劇で。
……そりゃ笑うってー(笑)。
【次回がやっと最終回】
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます