一応、ネタバレなしでいきますけど、この「ネタバレはまずい」んじゃないかという話もよけいなことです。実はまったく事前情報を入れないで観た方がいいに決まっているんですけど、このご時世にそうもいかないですわね。とりあえず
・塩田武士の原作は主役を大泉洋がやることを想定して書かれた。つまり当て書き。
・「全員ウソをついている」というコピーは大げさ(笑)
・大泉洋と松岡茉優ぐらいは仕方ないにしても、他のキャストは知らない方がいい
……だからポスターからも目をそらせ!わたしはおかげで「おー」と驚くことができました。
実は主演が大泉洋で客をだまそうという雰囲気から、ひょっとしたら「アフタースクール」のようなタイプの映画かと思ってました。あちらは山本圭がいい味を出してましたが、こちらはお兄さんの山本学がオープニングに出てくるんですもの。
しかし途中から「あ、違うな」と気づくことになります。監督の吉田大八の狙いは別にある。
出版界のお話。とにかく本と雑誌が売れない時代。その現実にどう立ち向かうか。改革派、守旧派、純情派(笑)が激突。
しかしみんな雑誌づくり、本を売ることが好きなのであり(それは街の書店も含めてであることが描かれる)、どの客が先にレジに自分のところの雑誌を持っていくかを賭け、熱中するシーンがほほえましい。
この業界のドラマがいけると判断されたのは「重版出来」(TBS)のヒットによるのだろうか。創業家が今でも経営の中枢にいるとなれば講〇社かなあ、×潮社かなあとか、大御所のルックスがまるっきり某SF作家だとか、書店に入ると大きいほうがしたくなる(「本の雑誌」で評判になった、通称青木まりこ現象)など小ネタ満載。当て書きであるからこそ、いつもの大泉洋ではないあたり、渋いです。
なにより、タイトルにしっかりヒントが仕込まれていたという……あ、結局ネタバレ。
年代幅広く客入りは良かったですね。
私、数年前に原作既読なのに本作何か違和感…?
調べると映画用に脚本をバラバラにしたそうです。
でも冒頭からエンドロール(大泉“酔う”)まで
丁々発止の群像劇、楽しみましたね~!