学校の図書室にあったので再読。近ごろ忘却力が暴走しているので初読のときと同じように、いやそれ以上に面白かったので困ったものだ。で、わたしは思うんだけど、米澤穂信の最高傑作って、実はこの作品ではないかと思う。
いや反論は覚悟していますよ。「さよなら妖精」のせつなさは忘れられないし、「満願」と「王とサーカス」で2年連続このミスランキング1位をとったのだから、本領はあっち系だろうと。
この作品は12世紀の北海を舞台にしたファンタジーの体裁をとっている。主人公の探偵役ふたりはどう見ても「薔薇の名前」のコンビだし、魔法が存在する世界という設定もとっつきにくいかも。文体も、古典ファンタジーのパスティーシュ的ではある。
でも、そんな世界観と二重三重の密室トリックはみごとに融合しているし、語り手の娘も魅力的だ。なにより、読んでいるときの多幸感は抜きんでている。わたし、この小説がひたすら好きです。
あ、さすがにあの密室脱出トリックの凄みだけはおぼえてました(笑)
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