聾唖の女性ボクサーの物語。音が聴こえないことがボクシングというスポーツで不利であることは素人にもわかるのだが、しかしその分
「(ケイコは)目がいい」
とジムの会長は言う。
オープニングのスパーリングのシーンだけで、ケイコを演じた岸井ゆきのがどれだけトレーニングを積んだかがわかる。くわえて、セリフで表現できない分を、身体の動きとおさえた表情だけで演じきった彼女には凄みすら。
「愛がなんだ」の暴走する女の子と、この作品のケイコ。どれだけの女優なのだろう。
ジムの会長の三浦友和がいいのは当然のこととして、トレーナー役の三浦誠己が「うわ、こんなにうまい人だったの?」と驚くくらいにすばらしい。
わざわざ16mmで撮影した画調といい、コロナ禍で生きる人たちの憂鬱を描き切った演出(三宅唱)といい、すばらしい作品だった。キネ旬ベストワン納得。
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